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概要

エコジン06・07月号

ビルの内部には各所にボイド(吹き抜け)が設けられている(左ページ写真)。これによって採光や、外気の導入・排出が可能になり、省CO2 を実現する。オフィスフロアでは、夜間の涼しい外気で天井を冷やし、翌日の空調エネルギーを削減するナイトパージも取り入れている。最上階の展望フロアと16 階には、木々や草花を多く配した庭園がつくられている。ヒートアイランド現象の緩和に一役買うだけでなく、屋上庭園に降った雨水は地下のタンクに貯蔵され、百貨店内トイレの洗浄水に中水利用される。地下5 階には、生ごみを利用したバイオガス発電設備も完備。この他、どの方向からの風でも受けとめる小規模風力発電や、南側壁面に太陽光パネルを設置した太陽光発電などを配して無駄なく効率の良いエネルギー利用をめざす。 窓は外側にフロート合わせガラスを、内側に暑い日差しをカットするLow-e複層ガラスを設置。ガラスとガラスの間に空気の通り道をつくることによって、室内の温度上昇を二重に抑えている。 また、さまざまな再生可能エネルギーも活用している。そのひとつがバイオガス発電設備で、高層ビルへの設置は日本初となる。複合施設であるため、百貨店やホテルのレストランなどから多くの生ごみが出る。これを有効利用しようというもので、ごみの排出量の抑制にもつながっている。 「百貨店は年間を通して冷房需要が高いのですが、空調利用で発生した熱を、常に温水が必要なホテルやオフィスの給湯に利用しています。複合施設ならではのエネルギーの融通だといえるでしょう」と松本太一技術部課長。 先進的な技術と複合施設ならではの特徴を生かし、標準的なビルに比べて約25%、年間5000トン程度のCO2排出量が削減できると予測している。「まだ夏、冬のエネルギー需要が大きくなる季節を経験していませんが、目標は達成できると思います」。 今後は省エネの『見える化』によって、最も省エネを実行したテナントにインセンティブを与えるなどの意識啓発も検討している。高層ビルの中なのに「外」感覚!?生ごみだってエネルギー源に!?空の庭園でエコ&リラックスを!写真/森寛一 文/柳澤美帆29