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概要

エコジン06・07月号

 JR中央線で新宿から1時間。森と湖に抱かれた里山で「トランジション藤野」という活動が行われている。トランジションとは「移行する」という意味。化石燃料に頼った大量消費型の社会システムから、地域にある資源を有効活用する持続可能なライフスタイルへの移行を目指す、草の根的な市民活動だ。トランジション藤野の活動を支えるのは、上で紹介した藤野電力、地域通貨よろづ屋、森部のほか、地産の農業から食を考える「お百姓クラブ」、瓦版の発行やイベント開催を行う「コミュニケーション」など7 つのワーキンググループ。人と人とのつながりが生む、エコロジカルな暮らし……ここには、地域の新たなコミュニティづくりのひとつの形があった。地域の資源を生かしてつくる、持続可能なライフスタイルハッケン! 人が森に生かされ、人が森を活かしていく……そんな森と人との関係を築き、次代に伝える活動を行っている。そんな森部の代表的活動が「皮むき間伐」。樹皮を剥いて木を立ち枯れさせ、木の葉を落として森に光を入れる。立ち枯れした木は水分が抜けるため非常に軽くなり、運搬・加工が容易となる。間伐するだけでなく、木材の利用までを視野に入れて取り組みを推進。水脈整備、水田の開墾なども行っている。森と人との豊かな関係を取り戻す森部ハッケン!皮むき間伐は、重機やチェーンソーを必要としない手軽さや、時間をかけて自然に木を乾燥させることができることなど、利点が多い。通帳に書き込まれていく履歴が、そのまま人と人とのつながりの記録になっていく。 「萬(よろづ)」と呼ばれる地域通貨を運用するワーキンググループ。萬は、登録会員が通帳を使って物やサービスをやり取りするシステム。例えば、子どもの一時預かりを頼みたい人は萬を「支払う」ことになるため「マイナス2000 萬」を記帳。一方、頼まれた側の通帳には「プラス2000 萬」が記帳されるという具合。“ 通貨”というツールを介することで、ご近所の助け合い精神の関係性を再構築するのが狙い。現在、約170 世帯が加入している。通帳を使って「お互いさま」をやり取り地域通貨よろづ屋27