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概要

エコジン06・07月号

応用編特別講義今回の講師東京大学生産技術研究所教授気候変動対策とリスクマネジメント 私はIPCC の第4 次評価報告書に引き続き、第5 次評価報告書でも第2 作業部会報告書の執筆に携わっていますが、第5 次が第4 次と比べて最も大きく異なる点は、第2作業部会において「リスクマネジメント」の考え方が示されたことだと言えるでしょう。従来のような「気候変動対策は人類に課せられた共通の使命である」というシンプルな命題から、さまざまな研究が進んだ結果、その複雑さがより浮き彫りになったとも言えます。たとえば、山は遠くから見ていると単に美しい形だと思えても、近くから見るとデコボコとした山肌が露わになったりごみが散乱したりしているといったディティールが見えてくるのと一緒です。 とりわけ、私の関わった第2 作業部会では、気沖 大幹先生これまで洪水はアジア地域に多く見られてきたが、近年、ヨーロッパの内陸部でも異常洪水が増えており、温暖化の影響が懸念されている。写真は2013 年のドイツ・ドナウ川の洪水の様子。(写真:EPA=時事)開発途上国の小島嶼では、海面上昇や高潮、海岸洪水などの被害も増加している。写真は、「温暖化で最初に沈む島」といわれるオセアニア・ツバル。満潮時には首都フナフティでもこうした水たまりが見られる。(写真:朝日新聞社 / 時事通信フォト)18