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概要

エコジン06・07月号

 2013 年9 月、スウェーデン・ストックホルムでの総会で公表された第1作業部会報告書では、科学的根拠に基づき、「人間による影響が20 世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い」ことが示され、その可能性を2007年公表の第4次評価報告書の90%から95%に引き上げました。そして、このまま温室効果ガスの排出量が増加し続けた場合、1986~2005年を基準とすると、今世紀末には世界の平均気温が2.6~4.8度上昇し、海面水位は最大で82㎝上昇するとの予測が報告されています。また、CO2の累積総排出量と地表面の平均気温の変化はおおむね線形関係にあることを報告しています。温暖化の影響で後退するヒマラヤ( 東ネパール) のAX010 氷河。1978 年(上)から2008 年(下)の変化(写真:名古屋大学・雪氷圏変動研究室) 2014年3月、横浜での総会で公表された第2作業部会報告書では、気候変動がもたらす影響、気候変動への適応、気候変動に対する人間の社会経済活動と自然システムの脆弱性についての評価が公表されました。ここでは、気候変動が自然と人間社会に対する重大なリスクの一つであることが明示されています。すべての大陸と海洋において気候変動による影響が現れており、多くの地域で降水量の変化や氷河の縮小による水資源への影響、また多数の生物種の生態系への影響などがみられますが、それぞれの地域によってその度合いが異なることも指摘されています。たとえば、アジアにおける影響としては、人為的影響による衰退以上に、熱帯アジア海域のサンゴ礁が衰退、ヒマラヤ、中央アジアの氷河の縮小による河川流量の増加、シベリア、中央アジア及びチベット高原の永久凍土の規模の縮小などが報告されています。2時間目3時間目426.0(℃)4.0histroricalRCP2.6RCP8.52.00.0-2.01950 2000 2050 21003239世界平均地上気温の変化(℃)RCP2.6 RCP8.5複数の気候予測モデルに基づく1950~2100年の世界平均地上気温の経年変化(1986~2005年の平均との比較)。対策を徹底的に講じた場合が「RCP2.6」、何も対策をしなかった場合が「RCP8. 5」のシナリオとなる。(出典: IPCC AR5 WG1 Summary for Policymakers 図SPM.7)15