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概要

エコジン04・05月号

密集して生息する海中は、サンゴ礁特有の魚たちにも彩られてカラフルな世界が広がる。透明度が高いため、もちろんシュノーケリングでも十分素晴らしさを堪能することができる。さらに海域はザトウクジラの繁殖地でもあり、1~ 3月の中旬にかけてはホエールウォッチングの絶好のタイミングだ。夏になればアオウミガメが上陸し、産卵を行う島もある。亜熱帯の森が広がり、希少な鳥類や両生類なども生息し、ほ乳類ではケラマジカの姿を見ることができる。「さまざまな命が息づく慶良間諸島ですが、それを地域自らで守る意識が高いのも特徴です。ホエールウォッチングでは、クジラに影響を与えないよう自主ルールを作成したり、ダイバーの方々が中心になってサンゴを守る活動を行ったりしています。こうした地元の人々の姿や意識にもぜひ目を向けていただきたいです」。国立公園に指定されたことで、この美しく豊かな自然が長く受け継がれることが期待されている。(左)慶良間諸島は、ウミガメの生育や繁殖に特に適した自然環境を有する。(下)阿嘉島の北浜周辺のサンゴの様子。3月8日、慶良間諸島国立公園の指定記念式典が開催され、翌3月9日には、座間味島、阿嘉島、渡嘉敷島で除幕式も行われた。慶良間諸島の海とサンゴ慶良間諸島のほぼ中央に位置する阿嘉島には、サンゴ礁をテーマに研究を続ける阿嘉島臨海研究所がある。ここでフィールド調査を行っている研究員・岩尾研二さんに慶良間海域について伺った。「慶良間諸島の海は生物の多様性が高い海です。通常、南の海は栄養分が少ないのですが、慶良間のようにサンゴが豊かに生息する場所ではサンゴに共生する褐虫藻が光合成でつくった栄養分が豊富なので、さまざまな生き物が生息できるのです。以前、世界中でサンゴの白化現象が起きたときも慶良間では影響が長引きませんでした。これは私の見解ではありますが、慶良間の海域は流れが良く、また周囲で陸の開発が抑えられているため汚染物質も少なく、健康な海だったからではないかと考えています。今回国立公園に指定されたことを受け、今後は目指すゴールやどう仕組みづくりをするか、自然をオーバーユースしないようにしながら保護と活用を考えていくことが大切だと思っています」09