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概要

エコジン04・05月号

地元住民が事業主となる、新しい地熱発電所が操業まちの至る所から温泉の湯けむりが上がる、熊本県・小国町。この町の地下に貯まる熱を利用して、国内では15年ぶりとなる新しい地熱発電所が今年、運転を開始する。事業主は、同町の岳の湯と、はげの湯の有志がつくった合同会社「わいた会」。地熱発電の施設建設や資金調達・管理運営は、業務委託された中央電力が請け負っている。事業主は建設場所を提供するのみで、売電収入から業務委託料を中央電力に支払い、同社が発電所建設・運営にかかわるすべてのコストを15年間かけて回収するスキームとなっている。わいた会では今後、収益の一部を地域振興などにも充てていく予定だ。「発電方式は、地下から上がる熱水と水蒸気を使う『フラッシュ方式』ですが、タービンを回して発電に使われた後の水を、復水器を設置して再び地下に戻す方法を採用しています。また汲み上げたお湯を分湯して、地元で使えるような仕組みにもしました。このように地元の方の要望に沿う発電施設をつくり、地域の資源を地域の方のために使うことを基本方針として事業を行っています。また事業を行うことによって、少ないながらも地元の方の雇用創出にもつながっています」と中央電力の平野泰敏取締役副社長は話す。温泉大国であり地熱発電のポテンシャルが高い日本で、こうした小規模発電が全国に広まっていくきっかけとなるか、注目が集まっている。中央電力株式会社設立: 19 9 4年本社所在地:東京都千代田区URL : http://www.denryoku.co.jp/index.html左:小国富士とも呼ばれる美しさを誇る涌蓋山の麓に広がる、わいた温泉郷。秘湯の地として知られ、集落一帯の地面から湯けむりが立ちこめる様は、豊かな地熱資源が地中にあることを感じさせる。右上・右下:年内に稼働が開始される地熱発電所1号機。最大出力2,000kW未満というコンパクトな規模にすることで、温泉量の減少や景観阻害がないよう配慮している。文/柳澤美帆29