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概要

エコジン04・05月号

阿部治先生に聞きました立教大学ESD研究所長ESDを一般の人にもっと広めるには?現代社会に生きる私たちは、地球温暖化などの環境問題をはじめ、食料・人口の問題、貧富の格差、人権・平和問題など、さまざまな課題に直面しています。そして、これらの課題は相互に深く関連し合い、ますます深刻化しています。そんな中、いま日本で生活する私たちだけでなく、世界中の人々や、未来を生きる世代も含め、みんなが安心して暮らすことのできる社会をつくるためには、持続可能な開発を進める必要があるのです。「持続可能な開発を進める」などというと、難しい概念と思われがちですが、私自身は、「人と自然との関係」「人と人との関係」「人と社会との関係」を、もう一度、持続可能なかたちに結び直していく活動がESDなのだと考えています。私は、今年2月に東京で開催された「ESDKIDS FES!!!」発表大会で審査委員長を務めました。全国から寄せられた66枚の活動報告シートには、それぞれの地域で活動に取り組んだ子供たちの感想が記されています。その中に、こんな印象的な記述がありました。「助けたいっていう気持ちが、生き物観察を始めたきっかけ」「エコって、みんなが快適に過ごすために、相手のことを考えて生活すること」「大人が楽しいことは、子どもだって楽しい」……豊かな実体験によって育まれた子どものみずみずしい感性は、無意識にESDの本質をとらえているのです。今年は、2005年から始まった国連「ESDの10年」の最終年にあたります。この10年間でESDの活動が人々に認知されるようになり、ようやくその“舞台”は整いました。しかし、この舞台はまだ仮設でしかありません。今後は“常設ステージ”を全国各地につくっていくことが必要です。それぞれの地域で、大人と子どもが、学校と地域社会が、ともに学び合いながら“夢の舞台”をつくり、楽しむのです。そして多くの人たちが、その体験を伝え合うことで、ESDの活動はさらに広がっていくでしょう。みんなが進んで活動に参加し、その体験を伝え合う場をつくることでE S Dは、もっと広まっていくでしょう。教えてくれた人:阿部治(あべ・おさむ)1955年生まれ。立教大学社会学部・大学院異文化コミュニケーション研究科教授。立教大学ESD研究所長。日本環境教育学会長、認定NPO法人ESD-J代表理事。東京農工大学農学部環境保護学科卒業、筑波大学大学院環境科学研究科修了。筑波大学講師、埼玉大学助教授等を経て、2002年より現職。文/梅澤聡23