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概要

エコジン02・03月号

作った『アイラブユーベイビー福島』をレコーディングして、それを配信して義援金を作り、福島に送りたい”という提案があって。それで『I love you & I need youふくしま』ができあがりました」震災の翌月から、箭内さんたちは福島に足を運び、避難所に支援に行くようになる。「被災した人たちにとって、この歌が必要とされているのかどうか、僕はすごく怖かったんです。何が必要で、何が必要じゃないのか、それを知るために行った部分も大きかった。そのとき、僕が広告を作っている会社の方々からいろんなものを頂いて、それを持って行ったんですが、一番喜ばれたのが女性の化粧品だったんです。水や食べるものも必要ですが、気持ちを支えるものが欲しい人もいる。音楽も、それに近いものろん行政は行政で、福島のために頑張っているんでしょうが、活動が見えづらかったり、速度が遅かったりするのも事実。だけどどちらも、“問題を解決したい”という気持ちは当然根本にあるんです」震災、そして原発事故以降、福島を見てきた経験を経て今思うのは、問題を抱えている人たちと、解決しようと動いている側の橋渡しをしたい、ということ。「僕は広告を作る仕事をしていますが、広告って商品とお客様とか、企業と社会とか、2つを結びつけるための仕組みを考える、調整役です。正直“調整”って、あんまりカッコイイ言葉じゃないと思ってたけど、今、橋渡し役がいないと前に進まない時期に来ている気がします。例えば、“環境省、もっとちゃんとやれ!”って真っ向から怒りをぶつける人もいますが、穏やをするしくみを作るのが、広告屋である僕の仕事だと思う。なのかな、ということを感じましたね」避難所への訪問や、震災の年の秋に福島で開いたライブイベント『LIVE福島風とロックSUPER野馬追』などを通じ、さまざまな福島の人たちの話をたくさん聞いた。そこで気がついたのは、人それぞれ、本当にさまざまな意見や事情があり、求めているものも違うということだった。「音楽が欲しい人もいるし、いらない人もいる。何人かの話を聞いて、“今福島はこうだよ!”って括ってしまうのが、一番危険。しかもその意見やニーズは、時間が経つほどに多様化していきます。気持ちが楽になった人もいれば、逆にどんどんつらさが増している人もいる。また、仮設住宅では日々悩みが生まれてもいて、新しい問題や課題が次々と見えてくる。支援の方向や種類は、もっと細やかであるべきだと思いますね。もちかに近づいていって、ユーモアを持って話をした方がいろんなことが実現するんだったら、僕はそのほうがいい。その、お互いの溝を埋めて物事をスムーズに動かすよう橋渡しをすることが、広告屋である僕のできることだと思うんですよね」箭内道彦1964年福島県生まれ。クリエイティブディレクター。博報堂を経て自身の会社『風とロック』を設立。数多くのCMを手がけ、ヒットさせる。震災以降、様々な形で福島を支援しており、現在は箭内さんとミュージシャンが、福島の59市町村を毎月一ヶ所訪れる『風とロックCARAVAN福島』を実行中。また秋には恒例のイベント『風とロック芋煮会』を福島で開催予定。Click!!http://blog.magabon.jp/kazetorock/05