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概要

エコジン02・03月号

水素社会の早期実現を目指して新触媒を開発文/さくらい伸水素燃料は、「究極のクリーンエネルギー」と呼ばれながらも、その実用は遠い未来の話だと思われていた。千代田化工建設株式会社が開発した「SPERA(スペラ)水素」は、水素エネルギーの実用化を大きく前進させる新技術として注目を集めている。「水素を液体化するという工程は既存の技術としてありましたが、長年にわたる触媒開発の結果生まれた『SPERA触媒』を使えば、そこから水素を取り出すことができます。この技術により、液化し体積を500分の1にまで小さくした水素を大量に貯蔵、輸送し、必要な場所に供給する、といったトータルでの水素利用が可能となりました」と同社技術開発ユニット・水素チェーン事業推進ユニット技師長の岡田佳巳さんは言う。「第一段階では、海外の天然ガス、石油産出国で大量に生まれる副生ガスから水素を製造するためのプラントを建設。ガス田、油田で発生するCO?はその場で回収、貯蔵することで排出を最小限に抑えます。今後、再生可能エネルギーの電力からSPERA水素を生み出せるようになれば化石燃料に頼らずに済む。地球環境保護とエネルギー問題の双方に大きく貢献できるでしょう」水素社会の潮流がここから生まれようとしている。千代田化工建設株式会社設立: 19 4 8年本社所在地:神奈川県横浜市西区URL : http://www.chiyoda-corp.com左:トルエンと水素を反応させて常温・常圧で貯蔵・輸送が可能となるメチルシクロヘキサン(= SPERA水素)から、「SPERA触媒」によって、水素を取り出し、利用することが可能となった。右:ガソリンなどと同等の安全管理で貯蔵・輸送が可能なので、石油に使用していたタンカーや備蓄タンクなど、既存インフラも活用できる。下:水素化反応器と脱水素反応器を併設したデモプラント。同社では、2 0 1 6年春を目標に、水素供給基地を川崎臨海部に建設予定。31