ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

エコジン10・11月号

循環する、[千年希望の丘/宮城県岩沼市]震災がれき宮城県南部に位置する岩沼市では、東日本大震災によって市民150名の死者、行方不明者が出ました。そのほとんどが津波による被害です。こうした教訓を生かし、市では災害時の避難場所として機能する「千年希望の丘」プロジェクトに着手。震災がれきを再利用した、未来の子どもたちに希望を伝えるための壮大な計画がスタートしました。写真/石原敦志文/さくらい伸仙台空港近くに建つ「千年希望の丘」の第1号モデル丘。高さ8mの丘はコンクリートがらや津波堆積土などの震災がれきによってつくられている。木の階段は被災家屋の柱や梁を再利用した。震災がれきの山を希望の丘に変える岩沼市は、被災地のなかでもいち早く「震災復興計画」を策定したことでも知られ、スピード感のある復興が他の地域からも注目されている。自然をむやみに恐れたり、人間の手で抑え込もうとするのではなく、日ごろから自然と接することでその豊かさや恐ろしさを学び、共生していくこと。こうした考えにもとづき、復興の一環として新たな沿岸部の再生にも着手している。クロマツの防潮林が連なっていた約10kmにわたる沿岸部に15基の「丘」をつくり、その丘と丘をつなぐように「緑の堤防」を設置する一大プロジェクト、その名も「千年希望の丘」だ。「1 5基の小高い丘からなる『千年希望の丘』は、津波が来た際に人々が避難するための避難場所として機能するだけでなく、東日本大震災で犠牲になられた方たちへの鎮魂や、震災の教訓を忘れないためのメモリアル施設という側面もあります。千年先の子どもたちに震災の教訓を伝えるとともに、平和への祈りも込めてこうしたネーミングにしました。このような場所に『希望』という言葉を使うケースは少ないと思いますが、未来の岩沼に向けてどうしてもこの言葉を使いたかったのです」と井口経明岩沼市長は思いを語る。10