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概要

エコジン6・7月号

環境番組のレポーターとして、数々の国を巡り、変化する自然環境を目の当たりにしてきた赤井さん。北はアラスカで、マイナス4 0度の中、イヌイットの人々と犬ぞりに乗ってアザラシを獲りに出向き、南はダナキル砂漠で、6 0度を超える暑さの中、岩塩採りを経験するなど、厳しい自然環境の中で生活する人々と触れ合ってきた。「犬ぞりに乗って吹きすさぶ風の中にいると、体感温度はマイナス40度どころじゃなかったと思いますよ。それなのに結局、アザラシは獲れずじまい。あんなに寒いのに、やっぱり地球温暖化の影響で氷がたくさん溶けてしまっていて、アザラシの生息域が変化していることが原因だったんでしょうね。永久凍土が溶けているから、その上で住んでいたイヌイットは住む場所までどんどん無くなってしまっていて、かなり状況は深刻だと思います」本当は寒いところが大の苦手だと言うが、「自分が肌身に感じたこの現状を、テレビに出る側の人間として少しでも多くの人に伝えなければならない」と、レポーターとしての使命感に駆られた。縁あって、国際的な農村開発や環境保全活動を行っている公益法人オイスカ・インターナショナルが主催する「子供の森」計画の親善大使として、マレーシアやフィジーの島々へ出向き、植林活動も行ってきた。「子供の森」計画とは、地域の子どもたちが自然環境の大切さを学び、その上で自分たちの手で森をつくっていくという植林プログラムだ。最初のマレーシア・ボルネオ島訪問では、赤井さんは一週間滞在して現地を見て回った。「ボルネオ島は緑が多いという印象だったけれど、開発のために森がかなり伐採されていて驚きました。開発は島の人々にとって必要なことだとは理解できますが、長いスパンで物事を考えることも重要。未来の子どもたちに向けて、緑の贈りものをつくることはとても大切なことだと感じました」子どもたちに交じって植林をした赤井さんは、3年後、自分の3人の子どもたちを連れて、再び島を訪れた。「僕が植えた小さな苗が、かなり大きくなっていて嬉しかったですね。子どもたちはまだ小学生だったけれど、父親が木を植えたということに、何か感じることがあったのではないかと思います。ほかにも子どもたちとは自然番組に一緒に出る機会があって、日本では冬の白神山地でマタギの方と一緒に熊を獲りに行ったり、富士山に登ったりしました。海外では、子どもたちだけで現地の先住民のところに泊まり込んだり。厳しい環境の中に突然放り出されるので『もう帰りたい』と泣き出すこともあったけれど、子どもだから柔軟性が高い。いつの間にかそこの生活に溶け込んで、僕よりイキイキしていましたね」小さかった子どもたちも、いまは全員すっかり大きくたくましくなった。東北の震災のときにはボランティアとして活動したり、自らコスタリカに植樹に行ったりと、さまざまな活動に積極的に参加している。「子どもに何が伝えられたかわからないけれど、彼らがいまは自分たちなりに考えて判断して、行動していることをとても頼もしく思います。いまは僕が子どもたちから教わることの方が多いかな」豊かな地球環境は、「なぜこの環境が大切なのか」と理解して、次の世代、そのまた次の世代にと受け継いでいくことこそが重要。赤井家でも徐々にそんなバトンタッチが進んでいるようだ。あかい・ひでかず俳優・タレント。1959年大阪府出身。高校時代にボクシング部で頭角を表し、大学時代にプロに転向。12連続KOの日本記録を樹立する。その後ケガのため引退。芸能界入りし、映画『どついたるねん』で俳優デビュー。その後もドラマやバラエティー番組などで活躍。2012年からは母校である近畿大学ボクシング部の総監督に就任。http://www.akaihidekazu.com/index.html05