エコジン2・3月号

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概要:
エコジン2・3月号

「永遠に捨てない服が着たい!」。京都市で、環境プロデューサー・岡部達平さんの授業を受けた2人の小学生が発した言葉から立ち上がった衣類のリサイクル運動「体操服!『いってらっしゃい、おかえりなさいプロジェクトR』」。成長とともにサイズが合わなくなったり、汚れがひどくて着られなくなったりした体操服を学校で回収し、それを繊維メーカーの工場に送ってケミカルリサイクルすることで、再び新しい体操服に生まれ変わらせるというものだ。現在、衣類のリサイクル率は低く、多くがごみとして処理されている。だが帝人フロンティアと旭化成せんいがそれぞれ開発した、ポリエステル繊維のケミカルリサイクル技術が“終わりのない”リサイクルを可能にした。ケミカルリサイクルは、服に使われたポリエステルを分子レベルにまで分解して、石油から作られる新しいポリエステル繊維と同等レベルの繊維を生み出すという画期的な技術。ただし、服に占めるポリエステルの割合が多いことがリサイクル条件となるため、岡部氏と両企業は、ほとんどがポリエステル製の体操服に着目した。プロジェクト開始後は門川大作京都市長の賛同もあり、2011年末、京都市による回収した体操服のリサイクル費用等の支援が決定。2012年夏には京都市内の公立学校49校が一気にプロジェクトに参加することとなった。京都市立の学校に通う約10万人の体操服がすべて捨てられると、単純計算で30リットルのごみ袋に換算して6,458個分。もし全校がプロジェクトに参加すれば,これだけのごみが削減されることとなる。こうした自治体と共同での学校体操服のリサイクルは全国で初めての取り組みだ。「自治体が参加してくださったことは、大きなはずみになりました。今後は他の自治体にも参加いただけるように働きかけ、将来は全国に活動の環を広げていきたい」とプロジェクトを担当する、帝人フロンティア株式会社の吉田美和さんは話す。「学校では、回収ボックスに体操服を入れるだけでなく、リサイクルへの意識を高められるように、先生に手渡しで受け取ってもらうようにお願いしている」と言うように、学校教育の中で、物を大切にする心を学ぶ良い機会になると、他の自治体からの問い合わせも増えている。リサイクル体操服を着用して、体育の授業に取り組む、京都市立勧修小学校の子どもたち。主素材がポリエステルの体操服は、綿素材よりも速乾性が良いため、洗濯してもすぐ乾くのが特徴。Click!!「体操服!『いってらっしゃい、おかえりなさいプロジェクトhttp://www.tiopro.net/R』」イラスト/かみやりょうこ行政体操服メーカーへ細かく砕く粒状にする化学処理で分解新しい繊維に新一年生23