エコジン2・3月号

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概要:
エコジン2・3月号

大台ヶ原では、森林生態系の衰退が進行しているため、十分な調査を行った上で、自然再生事業を進めている。また、大台ヶ原では、ニホンジカによる自然植生の食害も課題となっているため、防鹿柵の設置など、さまざまな対策を行っている。三重、奈良、和歌山の3県にまたがる吉野熊野国立公園。平成16(2004)年には「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、悠久の自然と人間が作り上げてきた文化の調和は「文化的景観」として評価は高い。今回紹介する七目木修一さんは、桜と史跡で知られる吉野山、古くから修験道の修行の場とされてきた大峯山系、氷河時代から引き継がれる植生が残る大台ヶ原を管内に持つ、奈良県区域を担当している。「急峻で標高2,000メートル近い山々が連なる大峯山系では、本格的な登山道の維持・整備と調整を行っています。一般の登山者にとっては道標は不可欠なものですが、修験者にとっては厳しい修行をする道なので道標は付けてほしくないという声があり、その間の調整もしています」奈良と三重の県境に位置する大台ヶ原では、氷河期からの貴重な森林生態系であるトウヒ林やブナ林などの衰退という課題がある。1960年の伊勢湾台風の被害や、その後の道路開通、ニホンジカの食害など複合的な要因によるものと考えられ、今は昭和30年代前半までの状態へと再生を目指す自然再生計画に取り組んでいる。「西大台地区は日本初の『利用調整区域』に指定され、立入りには申請が必要になりました。しかし、GW、夏休みなど集中期でも1日あたり50~100人、通常期は30~50人という立ち入り人数なので自然にかける負荷が低く、踏み跡が浸食されることもなくなるため、静寂な自然の中で土を踏みしめながら歩ける快適な空間になっています」この良好な自然空間を地域振興に生かしていくために、七目木さんは地元の方々やNPO、専門家などと意見を交換しながら調整を進めている。「地域の方々が自然の景観を保護し持続可能な利用の大切さを理解し、自然を守ることが地域の発展に結びつくと考え、一緒に取り組んでいただいているところに、大きなやりがいを感じます」私の仕事道具登山用コンパス。冬期以外はほぼ毎週、登山道の調査で山に入るので、現在地の把握や方位の確認に必須。「登山の超基本アイテムです。何よりも電池切れがありません。GPSも重要ですが、電池が1日持たないこともありコンパスは欠かせません。方角から『ここは午前中の写真スポットだな』などと想像するのも楽しいですよ」21