中島早貴 中島早貴とキーワードから考える

SDGsライフのヒント

聞いたことはあるけれど、なんとなく遠い存在の「SDGs」。日々の生活の中でも実践できるSDGsな暮らし方について、中島早貴さんと一緒に考えてみましょう。

中島早貴プロフィール
1994年2月5日生まれ。℃-uteの元メンバー。グループ解散後は舞台を中心に女優として活躍中。2018年、「つなげよう、支えよう森里川海アンバサダー」に就任。沖縄のサンゴ保全活動団体「チーム美らサンゴ」にも参加している。
キーワード05

生物多様性

について教えてください
角野匠さん
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室
角野匠さん

「世界にいなくなっていい生物はない」
生物多様性って、そういうことですか?

 環境省の森里川海アンバサダーに就任させていただいてることもあって、生物多様性については勉強もしているんですけど、その中で一番心に残っているのが「この世界にいなくなっていい生物は一つもない」という言葉。ちょっと増えすぎちゃった生き物たちもいるかもしれませんが、たくさんの生物がいるからこそ、それをベースにして私たち人間も生きていけるんだということを学びました。私たちが生きる上で、生物多様性はとても大切なことですよね。

質問シーン
回答者画像

多様な生物を守るための農業が
今、広がっています

 中島さんのおっしゃる通りです。生物多様性という大きなキーワードを考えるにあたり、最も身近な切り口の一つに「食」があります。例えば農産物は、土の中にたくさんの微生物がいることや花粉を運ぶ生き物など、多くの生物との関わりがあって実を結び、私たちの口に入ります。しかしこれまでの行き過ぎた農薬や化学肥料の投与によって、農地の生態系は大きく崩れてきたんです。ところがそれを是正する動きが近年広がっています。
 兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む農法」をご存じですか?コウノトリは田んぼや水辺でカエルやドジョウなどの生き物を餌にしますが、殺虫剤などによって田んぼから多くの小さな命がなくなり、コウノトリ自体も餌を失って激減しました。そこで豊岡市はコウノトリが生きられる田んぼづくりに取り組んだのです。殺虫剤を使わないと虫によって稲に害が及びますが、その代わりに虫を食べるクモやカエルなどが稲を守ってくれます。こうして多くの生き物が関わってできるお米が誕生したのです。

もっと有機食品の良さを知ってもらい、
広げるにはどうしたらいいのでしょうか

 私の実家が農家なので、農薬を使わない農業がどれほど大変かは想像できます。でも土が豊かであることは生態系の保全はもちろん、とても生命力が強くておいしい農作物を作ることができると感じています。森里川海プロジェクトで「わたしになるごはん」という動画に出演していますが、私は、食べ物は人をつくるし、もしかしたら食べ物で性格や考え方も変わるんじゃないか!?とすら思っています。だから食べ物を大切に選びたいですけど、有機食品の良さってどうしたらもっと多くの人にも共感してもらえるでしょうか。

質問者画像
回答者画像

子どもたちに有機農法で作った
農産物のおいしさを伝え
未来につなげています

 生態系に負荷をかけない有機農業は環境に良いだけでなく、味もおいしいですよね。最近ではそのことを伝える取り組みも始まっているので、千葉県いすみ市の例をご紹介しましょう。いすみ市では、小・中学校の給食をすべて有機米にし、野菜の約2割も有機にしています。ごはんをすべて有機米に変えたら、なんと残食がそれまでより10%も減ったのだそうです。保護者に対しても給食の試食会が定期的に開かれていて「おいしい」と好評だそうです。
 いすみ市の例は農産物についてですが、水産物に対しても環境に配慮した漁業や養殖によるものなのかどうかを判断する基準が設けられています。それがMSCとASCの認証ラベルです。それぞれ持続可能な漁業と養殖業による水産物の証しです。値段だけで食品を選ぶと見落としてしまいがちですが、ぜひ、チェックしてみてください。環境に配慮して生産された食べ物を選ぶことが、生物多様性を維持し、サステナブルな社会をつくることにつながります。

環境に配慮して適切に管理された
水産物につけられる認証ラベル

「食」からみる生物多様性と
SDGsの関係について教えてください

 私たちが食べる物を上手に選択するだけで、環境負荷を考えた生産者さんを応援できるだけでなく、味が良かったり、栄養が豊かだったりするので、良いことづくめですよね。環境に配慮して収穫・漁獲されたものを選ぶことに加えて、私は、旬のものであるかどうかや、近くで生産されたものかもチェックしたいなと思っています。こうして生物多様性を「食」からみてみると身近な取り組みに感じられますが、SDGsのゴールとしては、どんな目標に貢献することになりますか? 

質問者画像
回答者画像

食品の選択によって
サステナブルな社会に向けた
貢献や応援ができます

 生物多様性を守るためにいろいろなアプローチの仕方があると思いますが、こうした身近な「食べること」に着目した取り組みは、みんなが関わることができるので、とても有効性が高いと思います。SDGsの目標としては、ゴール14「海の豊かさを守ろう」、15「陸の豊かさも守ろう」に直結する取り組みですね。
 有機農業で作られる野菜は、まだ市場に出回る野菜の10%未満しかありません。その理由はいろいろ考えられますが、環境に優しく、生物多様性を維持させる農業であることは確かです。有機農業に取り組まれている農家さんを応援するためにも、毎食でなくても1食の中に有機食材を一つでも取り入れてみてはいかがでしょう。また購入まで至らずとも有機食材の良さを一人でも多くの人が知ることは、環境に配慮した食品がもっと広がる一歩になると思います。

今月のヒント

生態系を守るということも考えて
食品を選ぶ目を養います!

 日頃から「私の体は、私が食べたものでできている」と強く感じています。有機野菜は値段が少し高めなためか、よくフードレスキューのコーナーに入っているのを見かけるので、そういう時は必ず手に取るようにしています。だってすぐに食べるなら何も問題はないですし、有機野菜の力をすごく感じているからです。有機食品が生物多様性にも貢献しているなら、ますます有機野菜や認証ラベルつきのお魚を買おうという気持ちが高まりました!

SDGsって?

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。
持続可能な世界を実現するために、2030年までに達成すべき国際社会全体の目標であり、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
「地球上の誰一人として取り残さない」を理念に、行動変革につなげるため一人ひとりが持続可能な社会づくりに必要な知識とスキルを得ることなどが掲げられており、日本も積極的に取り組んでいます。

写真/石原敦志

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