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平成16年度 環境省重点施策

平成15年8月 環境省


<はじめに>

 今日の環境問題を突き詰めていくと、国民の日常生活や通常の事業活動から生じる環境負荷があまりに大きくなっており、それが原因で問題が生じているということに行き着きます。したがって、その解決のためには、私たちのライフスタイルや事業活動の在り方を根本から見直し、社会の在り方そのものを持続可能なものへと変革していかなければなりません。
 そのためには、環境の保全と経済の活性化とを一体化させるための取組を進めることが重要となっています。国民各界各層による積極的な環境対策こそが、新たな技術や産業を生み出す力となり、環境保全と経済発展が同時に実現する途を開くといえます。そして、現に、日々の活動の中で環境を強く意識して行動しようという萌芽は至るところに現れており、環境と経済の統合に向けた下地は整いつつあります。

 環境省は、このような認識の下、環境大臣の主催により、「環境と経済活動に関する懇談会」を開催し、本年6月には同懇談会が「環境と経済の好循環を目指して」と題する報告書をとりまとめました。この中では、環境と経済が一体となって向上する社会(環境と経済の統合)の実現のための施策の基本的方向について、企業・消費者双方の環境行動の促進、環境行動が経済的利益につながる基盤の整備、技術革新の促進と成果の普及等に戦略的に取り組むべきである旨提言されています。

 環境省としては、平成16年度において、この報告書の提言の具体化に積極的に取り組み、環境と経済の統合を世界に先駆けて実現する持続可能な社会への新たな展開を目指して、環境ビジネスの育成・振興、環境経営の促進や選択的・集中的な環境技術開発の促進を中心として、環境と経済の間に好循環を生み出していきます。
 また、環境問題の解決のためには日常生活や地域社会における足元からの自発的な環境保全の取組が極めて重要であることから、環境教育・人材育成の推進、民間環境保全活動の支援とパートナーシップ(各主体の連携・協働)の促進、まちづくりの促進などにより、取組の前提となる「地域環境力」(地域全体としての環境保全の取組の意識と能力)の醸成と向上を目指します。

 こうした分野横断的な新たな視点を念頭に置きつつ、地球温暖化対策を始めとする地球環境保全対策、循環型社会の構築に向けた廃棄物・リサイクル対策、環境汚染の防止・安全安心な生活の確保、生物多様性保全と自然との共生についても更に積極的に施策を推進します。

 環境省としては、こうした施策の実施に当たり、これまでの環境行政が築いてきたものを大切にします。同時に、新たな時代のニーズに合わせ環境行政の積極的な展開を図ります。その際、国民、民間団体、事業者、地方公共団体など各主体とのパートナーシップを構築し、幅広い力の結集に努めるとともに、国民に対し積極的に情報を提供し、環境行政の透明性の確保に努めます。

<平成16年度環境省重点施策の構成>

平成16年度環境省重点施策の構成