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公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(東京)報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。

日 時
平成30年12月14日(金)13:30~16:50
場 所
TKP東京駅セントラルカンファレンスセンター 10階「ホール10A」
(東京都中央区八重洲1-8-16 新槇町ビル)
参加者
自治体(48名)
開催主体
環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
実施機関
三菱総合研究所環境・エネルギー事業本部

プログラム

(1) 挨拶、趣旨説明 川原氏(環境省) 13:30~13:50

  • 環境省より、本意見交換会の趣旨及び環境省のZEB実証事業と政策について説明が行われた。

(2) 公共建築物のZEB化・省エネ改修等の課題 西山氏(三菱総研)13:50~14:10

  • 三菱総合研究所より、各地方公共団体の担当者から意見聴取し抽出された公共建築物のZEB 化・省エネ改修実施上の課題について説明が行われた。

(3) 公共建築物のZEB関連技術動向 白井氏(松田平田設計)14:10~14:40

  • 開成町新庁舎の設計者である松田平田設計から、開成町新庁舎に導入されたZEB技術について説明が行われた。
  • 開成町新庁舎は、運用時の運用操作がなくとも、基準一次エネルギー消費の50%以上のエネルギー削減が期待できる全国初のZEB認証庁舎として計画された。
  • 目標がLCCO2の25%削減に対して、設計段階でLCCO2の37%削減見込みとなることが試算されCASBEEの評価でSランクを取得することができた。これは、庁舎のエネルギー消費の6割を占める空調関連設備の省エネ化による効果が大きい。
  • ZEB化を図るためには、設備の能力と建物の断熱・遮熱性との組み合わせが重要なため、設計者と施工者の密なコミュニケーションを図れる組織体制づくりが必要である。今回の開成町新庁舎建設では、業務体制にZEB化のリーダーを配置し、ZEB化に関連する全ての情報を集めて管理するようにした。
  • 設計が進んでからZEB化を検討しても対応が困難であるため、設計者は設計の初期段階でZEB化の方針を提示し、施主の理解や施工者との共通認識を持つべきである。

(4) 開成町役場におけるZEB化の課題と解決 開成町 14:50~15:20

  • 開成町より開成町役場のZEB化について説明が行われた。
  • 開成町では、新庁舎の設計コンセプトの一つとして「地球環境への負荷、ライフサイクルコストを縮減する庁舎」を掲げ、初期構想段階からZEB化の方針を一貫して検討を進めた。
  • 開成町は18℃前後の安定した地下水が豊富にあるため、それを冷暖房設備に有効に活用できるかどうかがZEB化を検討するうえで重要なポイントとなった。
  • ステークホルダーに対するエネルギー削減量の説明には、町民が理解しにくい「kWh」や「GJ」単位の情報ではなく、標準的な建物との比較等を用いて表現を工夫し説明した。
  • 施工ミスがあった場合に補助金の受給ができなくなる可能性が懸念されるため、設計と施工者の中で責任を持って連携していただきたく、施工については一括発注とした。
  • 補助金申請時、補助金の申請書類が煩雑かつ膨大で庁内だけでは対応できないため、開成町では、補助金の申請書類の対応をZEBプランナーに依頼した。
  • 開成庁舎では、地域の新電力である湘南電力に庁舎屋根に太陽光発電の設置・運用を委託し、屋根の貸し出し代金はもらわない代わりに、設置した電気量の購入のみを実施することで、地場企業の活用を進めた。

(5) 公共施設における大幅な省エネ化やZEB化を実現するための課題と解決策 小矢部市 15:20~15:50

  • 小矢部市より市立幼保連携型認定こども園のZEB化について説明が行われた。
  • 設計者の技術提案の中で、建物全体の省エネ化による環境に配慮した施設整備に加え、子どもたちが快適に過ごせる効果を見込みZEBを選択した。
  • ZEB化のための省エネシステムは、高断熱化、日射抑制に水平庇・日射追尾型ブラインド・ルーバー、高効率型の空調・換気・給湯、人感センサー照明、自然エネルギーを活用した地中熱利用換気システム・太陽光発電の導入を計画している。
  • 構造を木造化し鉄鋼やセメントを使わないことで、サプライチェーン上流の温室効果ガス排出量の削減を実施している。また、木を用いることで、湿度調整に優れること、子どもたちの集中力が切れにくくなるなどといった副次的な効果がある。
  • 今回の幼保連携型認定こども園では、給湯設備や空調換気等について標準仕様とZEB化のライフサイクルコストを比較し、総コスト低減による経済的合理性を説明した。
  • 施設構造や使用用途から住宅に近い造りになるため、ZEHの設計も参考にした。
  • 最終的な事業成功には完成後のエネルギー管理が重要であるため、施設の運営・管理方法も検討する必要がある。

(6) 質疑応答・意見交換 15:50~16:50

  • ZEB化・省CO2促進事業や設備に関する質問から市民の新庁舎への感想を伺う質問まで、さまざまな内容について活発な質疑応答が行われた促進事業、補助金制度活用上の留意点等さまざまな内容について活発な質疑応答が行われた。

参加いただいた地方公共団体(順不同)

・福島県 ・栃木県 ・神奈川県 ・沖縄県 ・川崎市 ・静岡市
・つくば市 ・船橋市 ・浦安市 ・町田市 ・羽村市 ・その他(21地方公共団体)

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