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公共建築物のZEB化実現に関する意見交換会(福岡)報告

公共建築物のZEB化を含む大幅な省エネルギー化を図ることを目的として、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室主催による意見交換会が開催された。

日 時
平成31年2月7日(木)13:30~16:30
場 所
TKP博多駅前シティセンター 「カンファレンス5」
(福岡県福岡市博多区博多駅前3-2-1 日本生命博多駅前ビル8F)
参加者
自治体(20名)
開催主体
環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
実施機関
三菱総合研究所環境・エネルギー事業本部

プログラム

(1) 挨拶、趣旨説明 河邉氏(環境省)13:30~13:50

  • 本見学会の趣旨説明並びにZEBプランナー登録制度、ZEBリーディング・オーナー登録制度及びZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業が紹介された。? 環境省より、本意見交換会の趣旨及び環境省のZEB実証事業と政策について説明が行われた。

(2) 公共建築物のZEB化・省エネ改修等の課題 西山氏(三菱総研)13:50~14:10

  • 三菱総合研究所より、各地方公共団体の担当者から意見聴取し抽出された公共建築物のZEB 化・省エネ改修実施上の課題について説明が行われた。

(3) 最新のZEB化技術動向 加藤氏(大成建設)14:10~14:40

  • 大成建設から、テナントビルにおけるZEB化技術の最新動向について説明が行われた。
  • オフィスのエネルギー消費量は、空調による負荷が約43%、照明による負荷が約21%と全体のエネルギー消費量に占める割合が大きいため、ZEB化を目指す場合は空調と照明の負荷削減を実施すると必要がある。
  • JS博多渡辺ビルは、Low-E複層ガラス、高断熱材、トップランナーの空調機器、LED照明、昼光利用等を採用し、照明と空調負荷をそれぞれ82%、42%と大幅に削減することでテナントビルとして日本初のZEB Readyを取得した。
  • 愛知県環境調査センター・愛知県衛生研究所は、基本的な省エネ技術は導入したうえで、さらにシースルー型太陽光発電設備、ドラフトチャンバーの高速VAV制御、2温水回収ジェネリンク等、特徴的な技術を別途導入することで、公共の研究施設として初のNearly ZEBを取得した。

(4) 古平町庁舎におけるZEB化の課題と解決策 古平町 14:50~15:10

  • 古平町より古平町新庁舎のZEB化について説明が行われた。
  • 古平町では、基準ビルに比べて51%の省エネを図ったZEB Readyとして複合施設(図書館、地域交流センター、地域防災センター、役場庁舎)を導入予定である。
  • 平成29年度に設計を道内業者に委託したが設備が複雑すぎることから辞退されてしまい、スケジュールに大幅な遅れが発生した。その後、導入可能性調査を実施し、寒冷地のモデル庁舎として平成30年に事業者選定プロポーザルを実施した。
  • 平成30年度からデザインビルド方式が補助金の対象となったことから申請を行ったが、デザインビルド方式での発注経験がなかったため、他の類似事例を参考にしつつプロポーザルを実施した。
  • 補助事業を活用すると交付税措置を受けられない点と、ZEB補助金の来年度以降補助率が2/3から1/2に補助率が下がるという観点を含めて、どちらにメリットがあるかは慎重に検討する必要がある。
  • ZEB化で重要なのは建築後の運用である。運用は3年程度委託して標準化しようと考えている。

(5) 開成町役場におけるZEB化の課題と解決 開成町 15:10~15:40

  • 開成町より開成町役場のZEB化について説明が行われた。
  • 開成町では、新庁舎の設計コンセプトの一つとして「地球環境への負荷、ライフサイクルコストを縮減する庁舎」を掲げ、初期構想段階からZEB化の方針を一貫して検討を進めた。
  • 開成町は18℃前後の安定した地下水が豊富にあるため、それを冷暖房設備に有効に活用できるかどうかがZEB化を検討するうえで重要なポイントとなった。
  • ステークホルダーに対するエネルギー削減量の説明には、町民が理解しにくい「kWh」や「GJ」単位の情報ではなく、「4人家族の住宅〇宅分の省エネ効果」等のわかりやすい表現を用いて説明した。
  • 補助金申請時、補助金の申請書類が煩雑かつ膨大で庁内だけでは対応できないため、開成町では、補助金の申請書類の対応をZEBプランナーに依頼した。
  • ZEBに価値があるという前提を持ち、理念やストーリー性を持って進めていくことが重要である。「環境」や「省エネ」に対する否定的な意見はないため、この点をうまく活用して説明していくべきである。

(6) 質疑応答・意見交換 15:40~16:20

  • ZEB化・省CO2促進事業、補助金制度の今後について、制度の活用上の留意点等さまざまな内容にわたり活発な質疑応答が行われた。

参加いただいた地方公共団体(順不同)

・福岡県 ・佐賀県 ・宮崎県 ・沖縄県 ・長崎市 ・久留米市 ・その他(3地方公共団体)

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