コラム

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ESCO事業を活用した公共施設のZEB改修

柏崎海洋センター シーユース雷音の外観の写真
柏崎海洋センター シーユース雷音の外観

新潟県柏崎市の公共施設「柏崎海洋センター シーユース雷音」では、改修によって一次エネルギー消費量を51%削減し、ZEB Readyを実現しました。

当施設は、コージェネレーション・空冷ヒートポンプを中心とした熱源・給湯・昇温システムの再構築、LED照明、ペレットストーブ、BEMS装置等の導入、窓断熱強化(高性能遮熱断熱サッシ、Low-E複層ガラス)等により一次エネルギー削減率51%を達成し、ZEB Readyを実現しています。

今回は、「柏崎海洋センター シーユース雷音」の既築改修によるZEB化について、柏崎市の平田様(市民生活部 環境課 課長代理)、細山様(産業振興部 商業観光課 観光班 係長)、今井様(市民生活部 環境課 環境政策係 主事)、公益財団法人かしわざき振興財団の渡辺様、ESCO事業者のアズビル株式会社の鈴木様に話を伺いました。

公共施設の既築改修でZEB化した経緯

お話を伺った柏崎市、左から、細山様、平田様、今井様の写真
お話を伺った柏崎市、
左から、細山様、平田様、今井様

(司会者)

まず当施設の概要を教えてください。

(渡辺氏)

「柏崎海洋センター シーユース雷音」はどなたでも利用できる宿泊施設で、スポーツ合宿やビジネス合宿にも利用されています。客室に加えて会議室、レストラン、展望浴室があります。入浴施設があるため給湯用のガス代がそれなりにかかっていました。

(司会者)

当施設は、公共施設の改修でZEB化を達成された先駆的な事例だと思いますが、どのような経緯で実現できたのでしょうか。

お話を伺った公益財団法人かしわざき振興財団の渡辺様(左)、ESCO事業者のアズビル株式会社の鈴木様(右)の写真
お話を伺った
公益財団法人かしわざき振興財団の渡辺様(左)、
ESCO事業者のアズビル株式会社の鈴木様(右)

(平田氏)

柏崎市として省エネルギーや地球温暖化対策を進める中で、そのモデルとなる公共施設を探していたところ、ちょうど設備更新時期を迎えた当施設が合致しました。施設を所管する商業観光課に環境政策課がESCO事業※を活用した省エネ化を提案しました。

(今井氏)

維持費(光熱費)を削減できるという経済的なメリットと、温室効果ガス削減につながるという環境面でのメリットがタイミングよく両立しました。

(司会者)

なるほど。施設所管部署と環境部署の協力によって実現したのですね。ZEB化にあたって課題はありましたか?

(細山氏)

設備更新時にZEBを実現しようとすればどうしても必要な初期費用は増えるので、予算の確保が難しくなります。補助金を活用してESCO事業を行うことでこれを解決しました。ESCO事業は市として初めてということもあり、費用対効果が分からなかったのですが、ESCO事業者のアズビル株式会社にアドバイスをもらいながら理解を深めていきました。

(司会者)

改修工事中の施設の営業はどうされたのでしょうか。

(渡辺氏)

営業を続けながら工事を行いました。窓断熱も行いましたが、後付けサッシによる複層化のため工期を短くできました。工事のために休館としたのは4日間のみでした。

(司会者)

それはすごいですね。利用者の理解を得ながら工事を進めるのは気を使われたと思います。
※ESCO事業とは、省エネルギー改修にかかる全ての経費を光熱水費の削減分で賄う事業です。そのため初期費用を必要とせず、改修後の初年度から従来の光熱水費非常の経費負担は発生しません。

導入設備とその削減効果

コージェネレーションシステムの外観の写真
コージェネレーションシステムの外観

(司会者)

選定した導入設備の特徴を教えていただけますか。

(鈴木氏)

熱源・給湯・昇温システムとしてコージェネレーション、空冷ヒートポンプ、吸収式冷温水機を導入しました。現在は施設の使用電力の8~9割をコージェネレーションで賄っています。また、当施設の特徴として海辺に立地していて西日が暑いことから、遮熱効果もある二重サッシを導入しました。

(司会者)

熱需要と電力需要のバランスがうまくコージェネレーションの導入にうまくマッチしたのですね。検討したが採用しなかった設備はありますか。

(鈴木氏)

太陽光発電システムの導入を検討しましたが、海からの塩害と強風のため断念しました。

Low-E複層ガラスを導入したレストランの窓の写真
Low-E複層ガラスを導入したレストランの窓

(司会者)

改修を終えて2年目になりましたが、削減効果はいかがでしょうか。

(細山氏)

ESCO事業のため、事前に削減目標を設定しますが、初年度の光熱費削減額の達成率は104%でした。CO2排出量では改修前比30%程度の削減が実現できました。

(司会者)

初年度から大幅な削減が実現できていますね。ポイントはなんでしょうか。

(鈴木氏)

当施設は宿泊施設のため、24時間設備が稼働しています。そのため電気と熱の需要が大きく、コージェネレーション導入により大幅な削減が達成できました。平日の昼間のみ稼働する施設では別の対策が求められるでしょう。

(司会者)

施設の用途によって適切な対策が変わってくるということですね。今後の見通しはどうでしょうか。

(鈴木氏)

改修後の初年度は導入した設備のチューニングを行っているので、本格的に効果が出たのは8月ぐらいからでした。

(細山氏)

2年度目である今年度は更なる削減を達成したいです。他の公共施設のZEB化は現状検討されていませんが、当施設でよい結果が出せれば他の公共施設への展開の足掛かりになると考えています。

光熱費や温室効果ガス削減効果以外の効果

(司会者)

今回の改修で、光熱費や温室効果ガス削減以外の効果は出ているでしょうか。

(渡辺氏)

窓に複層ガラスを導入することで西日の遮熱効果だけでなく、冬に窓際は寒いという利用者の声が無くなりました。快適性が向上していると思います。あとは照明をLEDに交換しましたが、寿命が長いだけでなく、蛍光ランプと異なり経年で暗くなることもないので従業員からは好評です。従業員の省エネに対する意識も向上したと思います。

(今井氏)

コスト削減は必須だと思います。温室効果ガス排出の削減は環境対策としての提案ですが、コスト面で施設管理課や財政担当課も納得する内容である必要があります。

(司会者)

当施設の用途に合わせた効果的な設備導入のご提案と、ESCO事業と補助金の活用が課題のクリアに繋がったということですね。ありがとうございました。

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