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[キーワード] 光化学オキシダント、オゾン、健康影響、リスク、将来予測

[S-4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の
総合的評価に関する研究]
2.影響予測の高度化及び経済評価に関する研究
2−2健康面からみた温暖化の危険性水準情報の高度化に関する研究

4) 温暖化に伴う大気汚染のリスクに関する研究[PDF](414KB)

 独立行政法人国立環境研究所

 

 環境健康研究領域 総合影響評価研究室

田村憲治

 <研究協力機関>

 

 統計数理研究所リスク解析戦略研究センター
環境リスク研究グループ

松本幸雄

  [平成17〜21年度合計予算額]22,985千円
(うち、平成21年度予算額 4,444千円)
※予算額には、間接経費を含む。

[要旨]

 大都市における過去の気象パタンと光化学オキシダント濃度(Ox)との関係を、将来の気象条件予測結果に適用し、Oxが高濃度となる条件の日数(発生頻度)を推定することによって、将来の健康リスク評価を行った。2031-50年及び2081-2100年における関東、東海、関西、瀬戸内、北九州地方におけるOx濃度分布推計を行った。次に、Oxの主要な成分であるオゾン(O3)濃度と日死亡の増加に関する疫学文献の検討結果から求めた増加死亡リスクを、2つの社会シナリオに基づいて独自に推計した2100年までの将来人口及び2000年時点の人口に当てはめ、それぞれの地域における増加死亡リスクを算定した。関東、関西、東海地方では、2031-50年及び2081-2100年の夏季にはOx濃度が増加する傾向が強く、関東地方では最高10ppb程度、関西地方、東海地方では6ppb程度まで増加するという推定結果であったが、瀬戸内、北九州地方は将来の温暖化による気象変化があってもOx濃度増加は
みられないという推定結果となった。O3濃度増加による増加死亡リスクを計算した。関東、関西、東海地方では、2031〜2050年では一部に死亡が増加しない県があったが、2081〜2100年では9都府県すべてで死亡数は増加した。しかし、瀬戸内、北九州ではOxの上昇がほとんど見られないことから、将来の2期間とも、死亡数がわずかに増加あるいは減少するという推定結果になった。また、東北地方などでは気象官署や過去のOx濃度測定局データが不足することから、本研究に用いたOx濃度推定手法が適用できないが、Ox濃度が低い地域であるため将来的にも影響が小さいと推定され、死亡リスクの増加についてもリスクに閾値が存在すれば、リスクは小さくなると推定された。