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[キーワード]6000年前、 モンスーン、 大循環モデル、d18O、 地球温暖化

[RF-081 サンゴ骨格による古気候復元と大循環モデルの統合による気候値復元と予測に関する研究]

(2)大循環モデル(MIROC)を用いた古気候及び将来予測マップ復元と改良[PDF](501KB)

独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境変動領域 地球温暖化予測研究プログラム 古気候研究チーム

大垣内るみ

<研究協力者>

 

 独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境変動領域 北半球寒冷圏研究プログラム 陸域水循環研究チーム

大垣内るみ

  [平成20〜21年度合計予算額] 1,748千円(うち、平成21年度予算額 1,203千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  大循環モデルを用いた気候シミュレーションは、IPCC報告書にもあるように地球温暖化予測研究に欠かせない手法である。しかしその結果をより確かなものにするには、モデルが気候変化をシミュレートできるかどうか検証する必要がある。そこで過去の気候変化を示す指標と、その時期を想定したモデルシミュレーション結果をつき合わせて、モデルの性能をテストすることが重要である。本研究では、珊瑚の化石から得られた6000年前の情報と大循環モデルを用いたシミュレーションの結果を比較検討しモデルの性能評価を行った。
  大気海洋結合大循環モデル(GCM) MIROCを用いて、現在気候、6000年前と最終氷期最大期を想定した古気候シミュレーションを行った。そこで得られた海面の情報を境界条件とし、安定水同位体モデルを組み込んだMIROCの大気GCM (AGCM)を用いて、それぞれの時代について降水中の酸素同位対比(d18O)を再現した。次に、このAGCMシミュレーションの出力を海洋GCMに受け渡せるようにし、それを用いて海洋GCMを駆動し、サンゴ化石から得られる同位体比と海水の同位体比を直接比較するためのシミュレーション手法を開発した。
  その結果、西部熱帯太平洋域では、6000年前の降水は現在よりも同位体比が+0.6‰までの変化で大きくなった。また、海洋GCMに大気からの情報を入力しシミュレートすると海洋表面の同位体比の変化は降水の同位体比とそれほど変わらず、珊瑚のデータとも整合的な結果となった。特筆すべきことは、経験的な関係式を用いることなく、モデルとデータの結果を直接比較検討することが可能となり、モデルとデータを併用したより詳細なデータの解析およびモデルの妥当性の検討ができるようになったことである。