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[キーワード] マテリアルフロー、産業連関モデル、資源循環、地域間相互依存

[H-071 水・物質・エネルギーの「環境フラックス」評価による持続可能な都市・産業システムの設計]

(2)都市活動に伴う有機物質・エネルギーの地域の分布型フラックス解析システムの構築に関する研究[PDF](418KB)

 独立行政法人 産業技術総合研究所
安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ

玄地 裕

安全科学研究部門 素材エネルギー研究グループ

布施 正暁

<研究協力者>

 

安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ

李 一石

  [平成19〜21年度合計予算額] 34,182千円(うち、平成21年度予算額 10,870千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  持続可能な社会の構築に向けて、地球温暖化防止に対応した「京都議定書目標達成計画」、エネルギー・資源の有効利用を促す「循環型社会形成推進基本計画」などの様々な取り組みが行われている。このような取り組みに対応した持続可能な都市・地域システムを設計するため、より実効的な評価モデルの構築が求められている。本研究では、川崎市とその周辺地域(1都3県)を対象地域に設定し、活動主体間・地域間の相互依存関係を反映したマテリアルフロー・環境影響解析モデルを構築した。拠点都市の産業共生型資源循環システムの直接および間接的な環境影響ポテンシャルを評価した。マテリアルフロー・環境影響解析モデルの構築では、都道府県を対象に廃棄物処理プロセスの詳細を評価できる物質フローデータベースを整備した。同データベースを活用して、静脈産業および地域間影響を評価できるように産業連関モデルの部門および空間拡張を行った。構築したモデルの特長は、既存の廃棄物を対象とした産業連関モデルでは評価が困難であった、1)廃棄物の発生から処理・再資源化までの一連のマテリアルフロー、2)多種・多様な廃棄物処理・再資源化、3) 再資源化と減量化における環境・経済波及効果を定量的に分析可能にした点である。産業共生型資源循環システムの環境影響ポテンシャル評価では、川崎市および1都3県を対象に、現行シナリオ、積極的に地域内循環を推進するシナリオ、広域循環を推進するシナリオの比較を実施した。結果として、広域循環システム導入が対象地域全体の資源循環利用量を増加させ、同時にCO2排出量を減少させることを明らかにした。本研究で構築したマテリアルフロー・環境影響解析モデルは、広域における政策連携や役割分担の科学的な根拠を提供するなど、低炭素・循環型社会向けた地域政策の検討範囲をより一層広げることが期待できる。