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[B-072 森林減少の回避による排出削減量推定の実行可能性に関する研究]

(3)森林減少及び森林劣化の発生のメカニズムの社会経済的分析[PDF](483KB)

 独立行政法人森林総合研究所
林業経営・政策研究領域

横田康裕
(平成19年度は、(独)国際農林水産業研究センター)

 <研究協力機関>

 

独立行政法人森林総合研究所

宮本基杖

カンボジア王国 農林水産省林業局

Chann Sophal

ラオス人民共和国 農林水産省林業局

Khamphay MANIVONG

ラオス人民共和国 農林水産省農林業研究所

Chanhsamone PHONGOUDOME

ラオス人民共和国 農林水産省農林業研究所

Khampha CHANTHIRATH

  [平成19〜21年度合計予算額] 4,679千円(うち、平成21年度予算額 1,560千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

  本研究では、カンボジア・ラオスにおける森林減少・劣化の発生プロセスを社会経済的視点から分析し、それに基づいて、森林減少・劣化軽減の効率性を高めるとともにREDD制度運用による負の影響を回避・軽減するために、REDD制度に盛り込むべき観点を提案することを目的とする。両国の森林減少・劣化の主要要因として、企業・有力者・投資家などによる利潤追求のための商業プランテーション開発・土地投機、地域住民・入植者などによる生活確保のための小規模農地造成・焼畑耕作、違法伐採を含む非持続的な商業伐採、水力発電ダムや鉱山などの施設整備・土地開発があげられた。それらの背景要因として、政治・行政面では、脆弱な森林インフラストラクチャー、性急な開発政策、弱い法執行・ガバナンスが、社会・経済面では、国内外の市場経済の影響、人口・貧困・経済格差の問題、森林へのアクセスの向上が、自然環境面では地勢があげられた。これらの発生プロセスの分析結果から、森林減少・劣化の軽減には、ガバナンスの失敗の軽減と持続的森林経営・持続的開発の促進が課題と考えられた。これらをもとにREDD制度が取り組むべき課題を提案した。国際的議論枠組みに関しては、制度内容面では、国別に柔軟な対応を許容する緩やかな枠組みとしつつも、ガバナンスの失敗を軽減させる制約を設けることが必要である。また実施体制面では、現場レベルでの支援を行う枠組みの設定、持続的な森林経営・持続的な開発・ガバナンスの向上といった既存のイニシアチブとの連携が有効である。各国内での制度設計に関しては、森林減少・劣化の発生プロセスの正確な理解に基づく適切な対応策の策定、現場レベルでの実行力を高める体制の構築、非森林セクターもカバーする体制の構築、既存の持続的森林経営・持続的開発への取組と効率的な連携を図る体制の構築、地域社会からのより自主的な参加を引き出し、また社会的公平を維持・向上させる制度内容の策定とその適切な運用、国境をまたぐ背景要因・リーケージを周辺国等と調整する体制の構築が求められる。