検索画面へ Go Research



[キーワード] 熱帯、対流圏界面、水蒸気、オゾン、水蒸気除去過程

[A-071 成層圏プロセスの長期変化の検出とオゾン層変動予測の不確実性評価に関する研究]

(2)成層圏大気の滞留年代の決定に関する研究[PDF](413KB)

 東北大学大学院理学研究科

中澤高清

 東北大学大学院理学研究科

青木周司

 東北大学大学院理学研究科

石戸谷重之

<研究協力者>

 

 JAXA宇宙科学研究本部

本田秀之

 国立極地研究所

森本真司

  [平成19~21年度合計予算額] 24,284千円(うち、平成21年度予算額 8,950千円)
※予算額は、間接経費を含む。

[要旨]

 ]大型気球に搭載した成層圏大気のクライオジェニックサンプラーを用いて、成層圏大気を大量に採取し、それに含まれる微量成分である二酸化炭素(CO2)や六フッ化硫黄(SF6)の濃度、関連する気体成分の同位体組成などを精密に分析した。これらの濃度および同位体比のデー
タをもとにして、成層圏大気の滞留年代(平均年代)を高精度で推定した。平均年代の高精度推定の過程において、成層圏大気における重力分離の存在と、それが平均年代に与える影響を明らかにした。すなわち、大気主成分の同位体比測定の結果から、成層圏においても重力分離が起こっている可能性が初めて示唆された、気体分子の質量数の差が1の場合に基準化したときの重力分離効果は、中緯度の高度35km付近において、およそ.0.05パーミル、極渦内の高度30km付近ではおよそ.0.1パーミル程度であることが示された。このことから、CO2濃度をもとにして平均年代を推定する場合には、最大で約0.4年の補正が必要になることが判明した。研究期間中に2回の新たな気球実験を実施し、日本上空における最新の濃度データを取得するとともに、過去の気球実験によって採取され、保存されている空気試料の再解析を実施し、長期間にわたる変動を明らかにした。これにより、北半球中緯度上空における成層圏大気の平均年代の長期的な変化傾向を調べた。ドイツ、アメリカの研究機関との国際的な協力により、過去に得られた日本上空のデータに加え、ヨーロッパや、北米上空の平均年代を合わせて解析した結果、近年の数値モデル研究による予測に反して、北半球中緯度の成層圏における平均年代は低下していないことが示唆された。