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[研究代表者] |
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通商産業省 工業技術院 地質調査所海洋地質部 海洋資源環境研究室 |
●鈴木 淳 |
[通商産業省工業技術院地質調査所] |
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海洋地質部海洋資源環境研究室 |
●鈴木 淳、川幡穂高 |
９，６４１千円
（平成１１年度予算額２，８９６千円）
低緯度海域の浅海部に広く分布するサンゴ礁は、陸上の人間活動の影響を受けやすく、サンゴ礁群集の多様性の減少を引き起こしている。本研究では、陸域の影響を受けやすい裾礁タイプのサンゴ礁において水質環境に関する調査を行い、サンゴ礁保全対策のために有用な知見を提供することを目的とする。琉球列島石垣島の周囲には裾礁タイプのサンゴ礁が分布するが、南部の市街地及び農耕地周辺海域では、造礁サンゴ類の多様性の減少、藻類の分布域の拡大など、ストレスを受けた状態のサンゴ礁がみられる。一方、石垣島北部には比較的健全な状態のサンゴ礁が分布する。これらの状態の違いを規定する環境因子を探るために、まず、ストレスを受けた状態にあると考えられる白保地域（轟川河口より白保集落地先）のサンゴ礁をモデル海域に設定し、陸源物質のサンゴ礁への流入と礁内における物質輸送を解析するための現場観測を実施した。水温・塩分の面的調査と流速観測を組み合わせた簡易流況観測法を開発し、陸源物質のサンゴ礁への流入と物質移動を解析した。白保海域のサンゴ礁では、地下水や河川水などの陸水がサンゴ礁にもたらす溶存無機態の炭素およびリンの比はサンゴ礁生物群集が基礎生産を行う際の同化する炭素／リン比に比較して著しく大きい。これは、陸水がもたらす全炭酸が、サンゴ礁の生物活動では除去されないことを意味する。陸水流入の結果、汀線付近を中心に生成する高濃度の栄養塩、過剰な全炭酸による二酸化炭素分圧の上昇と炭酸カルシウム飽和度の低下した環境は、サンゴ礁に生息する生物の群集組成にも大きな影響を与えていると思われる。また、サンゴ礁の健全度の指標としてサンゴ礁海水のクロロフィル濃度は有用と思われるが，引き続きデータの蓄積が必要である。
サンゴ礁、生物多様性、海水循環、二酸化炭素、栄養塩、地下水