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[B−55 低環境負荷型都市交通手段に関する研究]

(6)低環境負荷目標達成のための都市交通システムの再構築に関する研究


[研究代表者]

国立環境研究所社会環境システム部

●森口祐一

[環境庁国立環境研究所]

社会環境システム部

●森口祐一、寺園 淳

地域環境研究グループ

●近藤美則、松橋啓介

(委託先) 名古屋大学大学院工学研究科地圏環境工学専攻

●林 良嗣、中村英樹、加藤博和


[平成10-11年度合計予算額]

16,297千円

(平成11年度予算額 7,397千円)


[要旨]

 都市交通システムを低環境負荷型に移行させるための施策メニューを整備し、施策ごとの削減量を都市規模別に定量的に推計する手法と、将来の環境負荷(CO2排出)削減目標を達成するために必要かつ実行可能性の高い施策の組み合わせをパッケージとしてシステマティックに見いだす方法を開発した。さらには、必要な施策の実施のための財源方策を整理した。
 まず、日本のCO2排出量の経年変化傾向を分析し、運輸部門の一貫した高い伸びのうち、1980年代末以降の伸びは、旅客交通とくに自家用乗用車の大型化によるエネルギー消費の急増によることを明らかにした。また、「日本の運輸交通起源CO2排出量を2010年に1990年レベルに抑える」という目標を仮に設定し、その実現に必要なCO2排出削減量およびそのために実施すべき施策オプションの提示を行った。その結果、目標の実現は燃費改善等の発生源対策のみでは不十分であり、都市構造や交通システムの側での対策の並行実施が必要であることが明らかにされた。
 また、OECD諸国、特に取り組みが進んでいるEU諸国における最新の施策事例を環境負荷削減施策メニューとして収集し、効果や問題点を整理した。各国独自に都市内交通対策に取り組んでいるほか、都市間鉄道整備などで施策を国際的に共同で実施しているところに大きな特徴がある。こうした情報収集のため、各国において現地調査や政策担当者に対するヒアリングを実施するとともに、OECD加盟国の専門家が各国の交通環境負荷削減施策と実施成果を提出し合い、施策メニューの整理・検討を各国共同で行っているEST(Environmentally Sustainable Transport)Projectに参加し、各国の施策実施や検討の状況を把握した。さらに、以上の情報を整理し参考とすることにより、日本の実情に合った実行可能な施策メニューを作成した。特に本研究では、TOD(Transit Oriented Development)を実施した場合の環境負荷削減効果を計測するとともに、そのために必要な交通・土地利用計画・財源・税制といった各種施策のパッケージを提示した。


[キーワード]

 目標設定型交通・環境施策、Integrated Transport、Transit Oriented Development、環境持続型交通整備