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[B−55 低環境負荷型都市内交通手段に関する研究]

(4)電気自動車の運用効率の改善とその評価に関する研究


[研究代表者]

工業技術院機械技術研究所 エネルギー部エネルギー利用技術研究室

●清水健一

[工業技術院機械技術研究所 エネルギー部]

 

エネルギー利用技術研究室

●清水健一

エネルギー利用技術研究室

●白井信正

エネルギー利用技術研究室

●岩月 徹


[平成9-11年度合計予算額]

21,207千円

(平成11年度予算額 6,700千円)


[要旨]

 排ガス公害及び地球温暖化の防止、エネルギー源の多様化等を目的に、EVの実用化が検討されて久しい。しかし、現実にEVを使用した際に、電池の能力が公称値を大幅に下廻る例が少なくない。この主な原因は、充電の方法によって充電時の効率に大幅な差が出ることと、組電池内に生じる個々の電池特性のアンバランスによって組電池の特性が大幅に悪化する事にあるとの見方が一般的となってきている。そこで、EVの実用上のエネルギ効率を左右する大きな要素である電池の充放電管理の効率を向上させる方策について検討した。
 まず、国内外のフリートテストの結果等、報告書等として入手できる資料を基に、EVの一般的な使用状況下での充放電効率の実態について調査した。その結果、充放電効率(商用電源からの入力電力に対する電池出力電力の比)が、現実には83〜58%と、大きくばらついていることが明らかになった。これに対し、単セル電池の理想状態での必要充電量は、取り出せる電気量の104〜105%であることを実験により確認できたため、運用時の運用方法に依存する充放電効率の改善が、EVそのものの効率改善よりも急務であり、見込める改善率も高いことが判明した。
 そこで、当所で開発した簡易型の電池管理システムを用いて、電池管理システムの運用によって得られる電気自動車の運用効率の改善の可能性、すなわち充放電効率の改善度と、電池寿命の延伸度について、小規模な組電池を用いたベンチでの充放電試験を実施した。
 寿命の延伸度の確認と同時に、効果的な均等充電方法についても検討を重ねた。その結果、各セル電圧が充電終止電圧をオーバーしないように充電電流を制御する方法が、ゲル式密閉鎖電池の均等充電法として有効であることを確認した。国内で多く利用されているガラスマットを用いたリテーナ式密閉型鉛電池については、試験用に改造した際の電池そのものの構造上の欠陥が判明し、急遽このトラブルに対処した電池を試作し再試験を行った。その結果、ゲル式に比べて管理が難しいものの、セルの温度の上昇に注意を払えば同様の管理で良好な状態が維持できることを確認した。
 一方、実使用時に使用者に表示すべき重要な情報の一つである残存容量について、シャシーダイナモメータ上での実車モード走行中に、簡易電池管理システムを用いてセル毎の残存容量を推測する方法の実用性の確認を行った。その結果、前述のアンバランスが生じて性能が低下したセルが存在していている状態を通常のモード走行中に把握でき、セルレベルでの残存容量が検出できることを確認した。これによって単に平均的な残存容量の表示でなく、セルレベルで過放電状態を発生させない様に運転者(又は車両の制御装置)に指示できることが確認できた。更に、温度変化や電池寿命等、実用時に補正すべき要件について検討した。


[キーワード]

 電気自動車、電池管理、エネルギー効率