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[B−55 低環境負荷型都市内交通手段に関する研究]

(3)都市内交通の環境負荷の事前評価に関する研究


[研究代表者]

工業技術院機械技術研究所 エネルギー部エネルギー利用技術研究室

●清水健一

[工業技術院機械技術研究所 エネルギー部]

 

エネルギー利用技術研究室

●清水健一

エネルギー利用技術研究室

●岩月 徹


[平成9-11年度合計予算額]

9,471千円

(平成11年度予算額 2,950千円)


[要旨]

 都市内交通によって消費されるエネルギー量の推定は、一般にシミュレーションによって行われるが、その際の基準になるデータとしては10・15モード燃費試験に代表される標準的な燃費試験法によるデータが用いられている。しかし、現状の試験法が排ガス試験法の修正版であることもあって、実走行状態を代表する結果が得られないことは周知のとおりである。一方、省エネルギーを目的としたEVやHEVは駆動系の性格等が従来の車両と大幅に異なるため、試験結果と実用燃費の乖離はさらに大きなものとなる可能性が高い。ここでは、基準となるデータを求めるこれら既存の試験方法の問題点を明らかにし、より実用燃費に近い結果を得るたるめの試験基準を求める。また、実用燃費に影響を与える種々の要素と、その寄与度についても検討し、実際の総合的なエネルギー消費量を推測するために実施する交通流を加味したシミュレーション作業の精度向上に資する。
 とくに現状のモード燃費試験方法等で規定されていない坂路勾配の影響や空調機の使用時の影響など、実使用時のエネルギー効率に影響を与える種々の要素を考慮した、いわゆるオフモード燃費は、実際の使用状況でのエネルギー効率を評価する尺度として重要であるので、その寄与度についても検討した。
 評価試験法に関しては、シャシーダイナモメータ上で行う評価試験時に大きな誤差が生じる要素について、従来の定性的な検討をふまえて定量的な検討を行った。その結果、ランク別けされたフライホイールによってある範囲の車両質量に対して一つの代表慣性質量値で対応する現状の試験法は、一般の車両より走行抵抗が低く車両重量が1.5倍近いEVでは大きな問題となることが判明した。また、市販HEVの回生制動効果の正確な評価には、新たなシャシーダイナモメータのあらたな制御アルゴリズムの開発が必要であることが明らかとなった。
 実用燃費に影響を与える要素とその寄与度に関しては、道路勾配の寄与度についての詳細なシミュレーションを行った。また、専用のモータで冷房用コンプレッサーを駆動するEV専用エアコン付の車両を用いて、エアコンの燃費への寄与度を調査し、省エネルギー設計のこれらのエアコンには、新たな試験基準の確立が不可欠であることが、明らかになった。
 さらに回生制動時のエネルギ効率の評価試験を行う際に必要な要件を明らかにした。


[キーワード]

 電気自動車、エネルギー効率、ハイブリッド電気自動車