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[B−16 地球温暖化抑制のためのCH4、N2Oの対策技術開発と評価に関する研究]

(9)東南アジア地域における反芻家畜からのCH4発生の抑制技術の開発


[研究代表者]

農林水産省九州農業試験場

●塩谷 繁

[農林水産省 九州農業試験場]

 

畜産部 環境生理研究室

●塩谷 繁、田中正仁、岩間裕子、神谷 充


[平成11年度合計予算額]

3,654千円


[要旨]

 東南アジア地域に適合した反芻家畜からのメタン放出量を低減する技術を開発するため、ホルスタイン種の乳牛を用いて以下の2つの実験を行った。
1)実験1では、東南アジア地域の主な粗飼料である暖地型牧草の栄養価が牛からのメタン発生量に及ぼす影響について検討した。供試した粗飼料は、スーダングラスサイレージ、バヒアグラス乾草および稲わらで、各粗飼料について育成牛または乾乳牛4頭ずつに給与し、呼吸試験を行った。各牧草のTDN含量および乾物摂取量当たりのメタンの発生量は、スーダングラスサイレージで62%,31.3L/日、バヒアグラス乾草で55%,37.7L/日、稲わらで54%,36.6L/日であった。
2)実験2では、暖地型牧草にイモ類を併給することが、牛乳生産量およびメタン発生量に及ぼす影響について検討した。東南アジアで飼われている乳牛と同程度の低泌乳量の乳牛4頭を用いて、バヒアグラス乾草またはそれにカンショを併給した場合の2種類の飼料給与条件(乾草区,イモ区)で泌乳試験を行った。イモ区の方が乳量,乳成分ともに多い傾向にあった。また、1頭あたりのメタン発生量は,乾草区の260L/日に対し、イモ区が146L/日であった。牛乳生産量あたりのメタン発生量は、乾草区の48Lに対しイモ区が25.5Lで、イモの給与によりメタン発生量が47%減少した。
 以上の結果から、東南アジア地域の牛からのメタン発生量を抑制するには、①TDN含量の高い草種を利用する、②暖地型牧草にイモ類を併給することが有効であると考えられた。


[キーワード]

 メタン、東南アジア、乳牛、飼料、暑熱