研究成果報告書 J98G0230.HTM

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[G−2.中央アジア塩類集積土壌の回復技術の確立に関する研究]

(3)導入作物の研究


[研究代表者]

 

国際農林水産業研究センター海外情報部

●松井重雄

(委託先)

 

佐賀大学農学部

●和佐野喜久生


[平成8〜10年度合計予算額]

20,743千円

(平成10年度予算額6,803千円)


[要旨]

 本研究は、シルダリア川下流域に位置するシャメイノフ・コルホーズ内の高塩類土壌集積による一廃棄圃場を対象として、土地改良と耐塩性作物の導入を計りながら廃棄圃場を再生・復活させることを目的として行った。平成8年度は、前年度に決定した現地試験地の廃棄圃場に暗渠パイプの埋設工事が予定されたので、カザフ国内及び隣国のキルギスタンとウズベキスタンの農業事情塩類集積及び水環境についての情報収集を行い、さらに、クズリオルダ農業生態研究所の協力研究者と実験実施計画の検討を行った。平成9年度は、シートパイプ暗渠埋設工事及び実験圃場の造営工事(圃場の土壌流失・破壊箇所の修復・均平化、明渠排水溝、境界溝家畜防護柵潅漑水路・水門の整備・補強など)を大成建設とクボタ工業の協力で完了した。さらに、イネ用育苗箱で数種の作物を供試し、作物の耐塩性の比較及び土壌のリーチング効果を確認した。帰国後は寒天培地上でのイネ品種の耐塩性の比較試験を行った.平成10年度は、本研究プロジェクトの10年度での打ち切りと申請予算額の半減が宣告されたことから、本研究計画の大幅変更を迫られることになった。しかし、本研究の目的遂行と9年度に実験圃場造営に投資された予算を考え、試験規模の大幅縮小はしないことにした。ただし、経費削減のため実験期間の短縮(開始を2ヵ月遅らす)、作物の栽培・耐塩性試験は可能な一定期間での比較試験とすることにした。結果は、イネについては試験目的を達成できなかったが、他の畑作物はすべて期待以上の試験成績を得ることができた。調査研究の分担は、供試作物の生育調査及び地下水・土壌分析は佐賀大学が分担し、作物の収量調査は現地の協力研究者が担当した。なお、協力研究者の報告は翻訳が未了であるので、今回は佐賀大学の調査結果の一部を報告した。10年度の研究成果は、カザフ共和国で初めて高塩類集積による廃棄圃場を再生させ作物栽培に成功したことであろう。脱塩処理、畝間潅漑、作物・品種の選定、肥培管理などを適切に行うことによって、不毛の廃棄圃場が再び生産性豊かな農場に変わることになるのである。


[キーワード]

カザフ共和国、耐塩性、作物栽培、塩類集積土壌、畝間潅漑、暗渠