研究成果報告書 J98G0220.HTM

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[G−2.中央アジア塩類集積土壌の回復技術の確立に関する研究]

(2)塩類集積土壌の除塩技術及び二次塩類集積防止の研究


[研究代表者]

 

国際農林水産業研究センター海外情報部

●松井重雄

(委託先)

 

鳥取大学乾燥地研究センター

●北村義信


[平成8〜10年度合計予算額]

104,194千円

(平成10年度予算額20,735千円)


[要旨]

 本研究では、カザフスタン共和国クジルオルダ州の、水稲作を中心とする8圃式輪作体系がとられているコルホーズを対象に、現地実験を通して二次的塩類集積の発生原因とプロセスを解明し、それを防止するための水管理対策について検討を行った。まず、地表水、地下水の水質特性を明らかにするとともに、灌漑ブロックレベルでの広域水収支、塩分収支を調査し、その実態を解明した。また、水稲栽培における湛水状態が土壌中の水分ポテンシャル、塩分動態に及ぼす影響について、灌漑期間を通じて観測した。さらに、8圃式輪作体系が塩類集積に及ぼす影響について明らかにするため、水稲区から休閑区等畑状態の圃場への水移動と塩分移動を、灌漑期間を通じて調査した。このほか、田面均平度の実態とそれに伴う圃場管理用水量の増大、水路からの漏水量の実態等を明らかにした。
1)地表水(河川水、灌漑水、圃場湛水、排水)の一連の観測結果から、EC値とTDSの関係を求めたところ、明瞭な線形関係(TDS=753.5・EC)が得られた。
2)広域水収支および塩分収支調査から、大量の水消費が行われていること、塩分の残留がブロック内およびその周辺で認められ、年々累積していること、さらに作付けパターンの前年に対する変化が、塩分収支に大きく影響すること、等が明らかとなった。
3)圃場面湛水は、より深い層の塩分を上方へ拡散させ、浅い層の塩分濃度を高めるため、リーチング効果はあまり期待できないことが明らかになった。
4)水稲区からの浸透水は、排水路の下を通って畑作区へ移動し、その地下水位を高めている。そのことが畑作区への塩分集積を加速させていると考えられる。したがって、現整備水準のもとでは、灌漑ブロック内での8圃式輪作体系の適用は、望ましくない。


[キーワード]

二次的塩類集積、広域水管理、水収支、塩分収支、8圃式輪作体系