研究成果報告書 J98E0210.HTM

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[E−2.熱帯環境保全林における野生生物多様性と持続的管理のための指標に関する研究]

(1)熱帯林における哺乳類及び鳥類の群集構造と多様性の維持機構に関する研究


[研究代表者]

●三浦慎悟

[農林水産省森林総合研究所・東北支所・保護部]

 

農林水産省森林総合研究所・森林生物部・鳥獣生態研究室

●安田雅俊

[環境庁国立環境研究所・地球環境研究グループ]

 

野生動物保全チーム

●永田尚志


[平成8〜10年度合計予算額]

(平成10年度予算額)


[要旨]

 低地熱帯林の自然林で哺乳類の群集組成を自動撮影装置とワナ法によって調査した。自然林では35種の哺乳類の生息が確認され、落下種子の捕食と分散パターンには種特異性が認められた。このうちブタオザル、オナガコミミネズミなど6種が落下種子の主要な捕食者であり、分散者であることが明らかになった。哺乳類の種組成と出現頻度は、自然林と古い択伐林である二次林との間には差異が認められ、択伐の影響が長期にわたることが判明した。また、自然林と、林縁部、周辺残存林、アブラヤシ農園との間には大きな差異が認められた。これは、人為撹乱の継続や林床植生の欠如などの要因によると考えられた。自然林の断片化による辺縁効果の影響を評価するために、自然林中心部と林縁部でカスミ網による捕獲調査を実施し、鳥類の群集組成と動態を観察し々種数と群集多様度は中心部できわめて高く、組成には著しい違いが認められた。人工巣による捕食実験を行った。オナガコミミネズミ、チビオマングースなどが捕食者であり、捕食率は森林内から林縁に行くほど増加する傾向が認められた。


[キーワード]

哺乳類群集、鳥類群集、自動撮影装置、カスミ網、周縁効果、環境選好性、自然林、二次林