研究成果報告書 J98B5130.HTM

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[B−51.温室効果ガスの人為的な排出源吸収源に関する研究]

(3)温室効果ガスの排出・吸収目録作成手法の総合評価に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所地球環境研究グループ

●西岡秀三

[環境庁国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ

●西岡秀三

地域環境研究グループ開発途上国環境改善(水質)研究チーム

●稲森悠平、水落元之


[平成10年度予算額]

15,762千円


[要旨]

 第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)においてはCO2のみならずCH4、N2O、HFC、PFC、SF6が削減対象ガスとなり、今後、削減目標達成に向けたアクションプランの作成のために、各GHGの精度の高い排出量・吸収量推定が極めて重要である。本研究では、特に、我が国におけるGHGの排出吸収目録の中で、京都議定書の二一ズヘの対応を重視し、特に改善の方向性を検討すべきガスおよびカテゴリとして1997年通報温室効果ガス目録における精度評価において推計精度が低いもの、推計範囲が不完全なもの、京都議定書の規定により、特に新たな対応が必要となったものとして、CH4およびN2O全般、工業プロセス全般、土地利用変化および林業(LUCF)のCO2およびバイオマス燃焼のCO2について、現状において特に知見が不十分と考え、GHGに係るデータを集約し、エミッションファクター、排出・吸収源のアクティビティ、より適切な推計手法などの各事項について改善するための検討を行い、具体的な改善方法の提示とともに来年度以降に集中的に実測・研究して改善すべき事項を明らかにすることを目的に検討を行った。CH4およびN2Oについて推計精度が低いと考えられたカテゴリーについては統計データ等から得られる活動量の精度に問題があるのではなく、個々の排出源における排出係数の精度の低さが大きな原因であることが明らかになり、今後の更なる調査研究が必要であることが明らかにされた。その中でも「燃料の燃焼(固定発生源)」では既存のデータベースを活用することで、「農業:家畜の腸内発酵については現状の推計手法で充分とは言えないまでも精度の確保が可能であることが明らかになった。しかし、「廃棄物:下水処理」ではカテゴリーで扱う窒素および炭素量からCH4、N2Oの排出ポテンシャルが高いと判断されるものの現状の推計範囲および排出係数の精度が極めて低く、今後の可及的かっ重点的な調査研究の必要性が明らかになった。一方、京都議定書により重要な位置づけとなった「LUCF」では、現行方式によるの森林におけるバイオマス量の把握には大きな誤差が内在していること、直接的な吸収量の測定についても林種の豊富な我が国においては、それぞれの林種に対応する吸収原単位を得ることの困難さが指摘された。また、伝統的に木造家屋の多い我が国においては家屋によるストック量の把握、これら家屋解体材の再利用による効果の評価を行う必要性が明らかになった。


[キーワード]

COP3、GHG、GHGインベントリー、IPCC/OECDガイドライン、開発途上国