研究成果報告書 J97G0120.HTM

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[G−1 砂漠化防止対策の適用効果の評価手法開発に関する研究]


(2)砂漠化地域総合開発モデル計画の作成とその投入産出効果に関する研究


[研究代表者]

農林水産省農業総合研究所海外部長 

●白石和良

[農林水産省 農業総合研究所]

海外部部長

●白石和良

 同 開発協力研究室

●桜井武司


[研究期間 平成7年度〜平成9年度予算額]

13,951千円


[要旨]

 内蒙古自治区奈曼旗の興隆召地区では、砂漠化を防止し、砂漠化した土地を再生させるため、第1期総合開発計画で地区内の防風林体系を整備し、第2期計画で地区内での営農や定住のための条件整備を重点的に推進することを計画したが、計画開始後1年を経ずして、その投資額を一挙に第2期計画の7倍に増大させた第3期計画が樹立された。その意図は、奈曼旗政府が上位政府機関等から同地区への投入資金を多額に引き出そうとしたことであるが、こうした行為は計画の妥当性や実現可能性に対する信頼度を失わせている。他方、こうした行為が生ずる背景には、中国ではまだ我が国のように一定の要件を満たせば上位政府機関等からその計画が認定され、計画実施に必要な補助や融資が確実に与えられる補助・融資制度が確立していないという事情がある。制度が確立していない場合は、個別計画ごとに特異性や新規性が求められる。こうした状況の中では実態に則したモデル計画の作成は困難であり、また、それに対する需要は少ない。

 以上のような状況にあるため、総合開発計画の策定に際しての投入産出効果の計測も恣意的に行われている。つまり、その算定方法が統一されていないのである。例えば、直接的経済効果だけしか算定していない場合などである。しかしながら、砂漠化防止に対する投資効果を直接的経済効果だけで算定すると低きに失する。そうなると、限られた投資資金の中では砂漠化防止に対する投資のプライオリティも低くなってしまう。社会効果、生態効果も投資効果に算入して砂漠化防止に対する投資効果の高さをアピールすることが必要となる。このためには砂漠化防止投資に対する投入産出効果の全国共通の算定方式を早期に確立することが必要である。

 また、最近の経済発展の結果、労賃や資材が高騰しており、このため、砂漠化防止のための費用は従来の計画額の5〜9倍に増嵩している一方、従来の砂漠化防止計画の根幹となっていた農民負担(無償労働力の提供を含む)中心の考え方では計画の推進が困難な状況となっている。


[キーワード]

 砂漠化防止、砂漠地総合開発、投入産出効果、モデル計画、費用分担