研究成果報告書 J97B1640.HTM

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[B−16 地球温暖化抑制のためのCH4、N2O対策技術開発と評価に関する研究]

(4)微量ガス抑制のための燃焼システム対策技術


[研究代表者]

資源環境技術総合研究所 統括研究調査官 ●城戸 伸夫


[通産省工業技術院 資源環境技術総合研究所]

熱エネルギー利用技術部 燃焼システム研究室 

●幡野博之、鈴木善三、守富 寛★


(★現在岐阜大学工学部)


[平成7〜9年度合計予算額]

14,809千円

(平成9年度予算額 5,034千円)


[要旨]

 温室効果ガスの一つである亜酸化窒素(N2O)について、燃焼プロセスからの発生量抑制技術の開発を行った。初年度は、効果的な抑制法の探索のため、発生量の大きい下水汚泥焼却の流動プロセスを対象にして、小型循環流動層燃焼装置により連続燃焼を行い生成量を測定した。下水汚泥の流動焼却では排ガス中のN2O濃度は1000ppmを越えたが、窒素転換率では15〜20%程度で、同じ装置により石炭を燃焼させた場合の転換率である30%に比べ、下水汚泥では低いことが明らかになった。次いで、より詳細に生成メカニズムを調べるため、下水汚泥を種々の温度で乾留し、揮発分の異なる試料を調製し、ドロップ式の燃焼装置で燃焼させ、N2Oの発生状況を測定した。N2Oの生成量は、下水汚泥の乾留温度に強い影響を受け、乾留温度の上昇と共にN2O生成量は急激に減少した。このことから、下水汚泥からのN2O発生は主として下水汚泥中のN分のうち、揮発分として放出されるものを起源とすることが分かった。

 第2年度は、具体的な低減法の検討を行った。代表的な低減法として、触媒による排ガス中のN2O分解、活性コークスによる排ガス中のN2O吸着、補助撚料ガスの燃焼装置への吹き込みによる部分高温化、を選びそれぞれの方法の効果を実験により調べた。Rh/ZnO系ゼオライト触媒による分解は非常に効果的であるが、実燃焼排ガスの様にSO2が共存する系では活性を急速に失うことがわかり、実用化のためにはさらにSO2に対する耐性を増加させる必要があることがわかった。次に試みた活性コークスによる吸着能の測定では、活性コークスはほとんどN2Oの吸着能を示さないことがわかった。これより、実用化が進められている活性コークスによる乾式排ガス処理プロセスではN2Oの排出抑制は期待できないことがわかった。補助燃料の吹き込みによる炉内高温化によるN2O分解はNOの生成を伴わずに、約40%の抑制率を示し実用的には最も期待できる抑制法であることが確認できた。

 最終年度はさらなる低減法として、燃料(廃棄物)の前処理による低減法を試みた。燃料を低温で乾留処理し、初年度明らかになったとおりN2Oの主要な生成源である揮発分をあらかじめ除去することによりN2Oの生成量を40%程度抑制可能であることを示した。このとき、もう一つの窒素酸化物であるNOの生成量が増加することが問題となったが、、二段燃焼法を適用することにより、NOについても対処できることを示した。

 上記に示した抑制法を組み合わせることにより、燃焼プロセスからのN2Oは最大80%程度抑制できる見通しを得た。


[キーワード]

 亜酸化窒素、燃焼、下水汚泥、抑制法