研究成果報告書 J97B1630.HTM

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[B−16 地球温暖化抑制のためのCH4、N2Oの対策技術開発と評価に関する研究]

(3)草地における温室効果微量ガスの動態と制御技術


[研究代表者]

農林水産省 草地試験場 環境部 土壌物質動態研究室 

●渋谷 岳

[農林水産省 草地試験場]

環境部

土壌物質動態研究室

●渋谷 岳・野中 邦彦・川内 郁緒

[農林水産省 九州農業試験場]

総合研究部

総合研究第3チーム

●山本 克巳


[平成7−9年度合計予算額]

16,760千円

(平成9年度予算額 5,639千円)


[要旨]

 草地における施肥窒素由来N2O放出量は、緩効性窒素肥料、被覆窒素肥料、硝酸性窒素肥料、硝化抑制剤入り肥料の使用により、慣行の化成肥料よりも低下した。牧草生産量は、硝化抑制剤入り化成肥料及び硝酸性窒素肥料が、慣行肥料を施用した場合と同等であった。緩効性窒素肥料と被覆窒素肥料は地温が高く、降雨量の多い時期には慣行肥料区と同等の収量が得られた。草地ではCH4吸収が認められたが、肥料試験区の間における大きな差異はなかった。以上の結果と資材調達や取り扱いの難易から、年4回の施肥時期に硝化抑制剤入り肥料を分施する方法、早春施肥時に慣行肥料(17ALL)を施用し、1〜3番草刈り取り毎に緩効性窒素肥料を施用する方法を採用することで、N2O放出量を慣行肥料施用に比べて、約50%程度に削減できると推定した。

 家畜ふん尿(牛スラリー)の圃場還元に伴うCH4放出量は、表面施用>溝施用>混和施用>土中施用であり、N2O放出量は逆に、土中施用>混和・溝施用>表面施用であった。スラリーの貯留前に曝気処理を施すことにより、曝気終了後から圃場施用時までの貯留中にスラリーから放出されるCH4放出量は、ポンプ循環曝気、水中ポンプ循環曝気、回転翼撹拌曝気のいずれの方法においても、無処理(貯留)に比べて約1/10に低減したが、ポンプ循環曝気ではN2O放出が認められた。スラリ−圃場還元時において、曝気処理後貯留液を表面施用した場合、無処理液施用区に比べて、CH4放出量は1/10以下、N2O放出量は1/2以下であり、貯留前の曝気処理が圃場施用時におけるCH4発生量低減に有効であった。密閉型発酵制御槽における測定では、曝気期間中のCH4放出量は無曝気区に比べ、1/4以下であった。この間N2O放出は認められなかった。従って、スラリー貯留前の曝気処理はスラリーからのCH4、N2O放出低減に有効であると考えられる。


[キーワード]

 草地、亜酸化窒素、メタン、窒素肥料、家畜ふん尿