研究成果報告書 J96B0520.HTM

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[B−5 気候モデルによる気候変動評価に関する研究]

(2)対流圏の移流拡散モデルを用いた地球温暖化物質の動態評価に関する研究


[研究代表者]

資源環境技術総合研究所  ●林 正康

[通商産業省 資源環境技術総合研究所]

環境影響予測部

●林 正康

環境影響予測部 広域域間環境研究室

●今須良一、蒲生 稔、前田高尚、田口彰一

(委託先)

筑波大学地球科学系

●田中 博


[平成6〜8年度合計予算額]

36,187千円

(平成8年度予算額 11,193千円)


[要旨]

 資源環境技術総合研究所で開発した3次元移流拡散モデルNIRE−CTM−93を用いてメチルクロロフォルム(CH3CCl3)、メタン、二酸化炭素の濃度分布の再現を試みた。本研究では、観測される濃度との比較から発生源・消滅先の推定値の改良を試みた。
 大気中での化学反応を含む物質としてメチルクロロフォルムを用いた。対流圏でOHラジカルと反応して消滅するが、本研究ではスピバコフスキーの推定した月平均・東西平均OHラジカル濃度を用いて実験した。その結果地表で観測される南北の分布をほぼ再現するとともに観測される季節変動も位相振幅共に再現した。但し大気中のOHラジカルの濃度を36%低くしなければ経年変化を説明できないことが判った。このOHラジカルの濃度を用いてメタンの実験を行った。メタンの発生源はテイラーの作成した月平均推定分布(524Tg/yr)を用いた。季節平均は観測と一致したものの、南北半球間濃度傾度は観測より小さく、発生源の南半球側の強度を相対的に小さくする必要が示唆された。
 工業統計に基づく化石燃料の消費による二酸化炭素の発生量の推定値と、ファンが人工衛星から推定した大気と陸上生態系の間の二酸化炭素の交換量を用いて大気中二酸化炭素の3次元分布の再現を試みた。陸上生態系による交換量を与えると大気中二酸化炭素濃度はほぼ観測される季節変化を示した。しかしながら発生と吸収の季節変動と卓越風向との相関があると年平均地表濃度が水平分布を持つことが判明した。
 観測される地表濃度の経年変化、南北濃度経度、季節変化、半年周期変化を用いてエンティングが開発した逆転法の適用により交換量の推定を試みた。実験の結果この拘束条件をかなり強くしなければ季節変動が反転してしまった。逆転法で用いる陸上生態系の交換量の季節変動は再検討する必要がある。


[キーワード]

対流圏、移流拡散モデル、メチルクロロフォルム、メタン、二酸化炭素