研究成果報告書 J96B0422.HTM

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[B−4 シベリア凍土地帯における温暖化フィードバックの評価に関する研究]

(2)シベリアの森林における温室効果ガス発生量へのフィードバック

⊃肯啣从劼二酸化炭素収支に与える影響の評価


[研究代表者]

森林総合研究所 北海道支所育林部長  ●金澤洋一

森林総合研究所

北海道支所

造林研究室

●大沢 晃

 

 

土壌研究室

●松浦陽次郎

 

 

樹木生理研究室

●森 茂太

 

東北支所

多雪研究室

●梶本卓也

 

本所

遠隔探査研究室

●鷹尾 元


[平成6〜8年度合計予算額]

25,510千円

(平成8年度予算額 9,433千円)


[要旨]

 火災がシベリアの森林生態系に与える影響を調査した。対照林分では地表から30−50cmであった永久凍土層の融解深度は隣接した火災林分では40−80cmであった。火災により下層植生やカラマツが損傷を受けたため、土壌からの二酸化炭素放出速度は融解深度の深まりにもかかわらず、火災林分の二酸化炭素放出速度は対照林分の約半分であった。対照カラマツ林分の土壌二酸化炭素放出速度は呼吸活性の低い地衣類の植被率と深い関係があり、地衣類植被率が高いと土壌二酸化炭素放出速度は低く、両者は反比例していた。対照林分のカラマツ根の呼吸速度の非破壊的測定と土壌二酸化炭素放出速度から、土壌二酸化炭素放出速度の多くの部分をカラマツの根の二酸化炭素放出速度が占めることが明らかとなった。
 渓流水分析から森林火災が土壌に与える影響を調べた。渓流水にはミネラルや無機態窒素は含まれず付近に分布する玄武岩質岩石を母材とする土壌の性質を反映したものであった。しかし、火災を受けた斜面下部の渓流水で溶存有機炭素が多いと考えられた。
 火災後、十分に回復したカラマツ林生態系全体の炭素収支を対照にして、火災からの回復過程を推定するためこの林分で数本の個体を切り倒し、これらの幹、根、枝の年輪解析から純生産速度を推定した。この対照林分でカラマツ地下部と地上部の日中呼吸を非破壊的に推定する方法を試み、立木個体全体の呼吸速度を測定した。また、現地で通年測定した地温、気温をパラメーターにカラマツ対照林分の炭素収支を推定した。対照林分の炭素収支の推定結果などを用いて、カラマツの年輪解析や様々な林齢の一斉回復林の実測データから、過去の強度火災により実生から一斉更新する過程を推定するモデルを作成した。この結果、現存量は徐々に頭打ちになって行くものの、地上部の呼吸速度は回復初期の数年程度高いがその後は一定の値で比較的安定するというモデル計算結果が得られた。


[キーワード]

地球温暖化、森林火災、永久凍土、炭素収支、カラマツ個体呼吸