研究成果報告書 J95E0120.HTM

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[E−1 熱帯林生態系の環境及び構造解析に関する研究]

(2)熱帯林構成樹種の成長様式に関する研究


[研究代表者]

国立環境研究所 生物圏環境部  ●古川昭雄

[環境庁 国立環境研究所]

生物圏環境部  ●古川昭雄

 

地球環境研究グループ森林減少・砂漠化研究チーム

●奥田敏統・唐 艶鴻

 

●木村勝彦・藤間 剛

(委託先)北海道大学低温科学研究所

●佐藤利幸


[平成5〜7年度合計予算額]

47,284千円

(平成7年度予算額 15,892千円)


[要旨]

(1)成長の季節性
 マレーシア森林研究所の研究ステーションがあるパソー森林保護区、マレーシアの首都クアラルンプール近郊のセマンコック丘陵保護林、ケポンの森林研究所内のDipterocarpus baudii Korth人工林において、直径成長、リターの季節変動および年変動を調査した。
 37樹種、170個体で調べた中の一部の種では、直径成長と降水量とが同調して変動していた。また、直径成長と落葉とが同調する種も見られた。しかし、一部の種では落葉の多い月と少ない月がランダムに起こっていた。しかも、多くの種が半年間の着葉期間であるのに対して、2年間もの間着葉しているScaphiumのような種もあることが分かった。ケポンの人工林では、全リターフォールのうち棄が63%を托葉が12%を占めた。この傾向は、2年間を通して観察された。全リターフォール量は1991年が12.8ton ha-1year-1、1992年が9.6ton ha-1year-1で、有意な差が見られた。
 ケポンの人工林におけるDipterocarpus baudiiの全落下量、葉および托葉の落下量の季節変動は年に2回のピークを示し、調査期間を通して同調する傾向を示した。Dipterocarpus baudiiの全落下量、葉および托葉の落下量の時間変動は降水量の変化と有意な相関関係があった。調査期間を通して、Dipterocarpus baudiiの開花と種子生産は葉および托葉の落下と同調していた。落下量の解析により、開花および種子生産は1991年よりも1992年の方が多く、1992年により多くの生殖器官が生産されたことにより、葉および托葉の生産量が減少していたことが分かった。
(2)シダ植物の空間分布と多様性
 植栽後5年までにヤシの樹幹に定着するタマシダの仲間、10年以降に頻度が高まるシシランが棲み分けていた。この棲み分けは土壌環境要因によるものと思われた。さらに、約15種のシダ植物が確認され、狭い範囲での樹幹着生シダの種数は多いが、樹幹ごとの種組成は共通していることが分った。


[キーワード]

リター、成長、生物季節、熱帯林、マレー半島