研究成果報告書 J95B1120.HTM

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[B−11 地球温暖化による水収支への影響評価に関する研究]

(2)積雪寒冷地流域の水文・水資源への影響評価に関する研究


[研究代表者]

建設省土木研究所 河川部 水文研究室  ●寺川 陽

[北海道開発庁 北海道開発局 開発土木研究所]

環境水工部

部   長

●水野雄三

 

環境研究室

●許士裕恭、中津川 誠

 

河川研究室

●井出康郎


[平成5〜7年度合計予算額]

8,829千円

(平成7年度予算額 2,743千円)


[要旨]

 積雪寒冷地における広域の流域での水循環については、これまで未着手の課題であったが、地球環境間題を考える上で今後検討すべき間題である。本試験研究の中では積雪寒冷地流域の水循環過程として、降水、積雪、蒸発散の現況について推算をおこなった。また、地球温暖化のシナリオのもとでそれらがどのように変化するかを試算した。ここでの検討対象は、流域面積が14,330km2である石狩川流域とした。
 降水量については、流域内気象データから推算したが、観測点の少ない山地部については、標高による補正をおこない、算出した。積雪水量については、人工衛星(空中写真、LANDSAT,MOS−1,NOAA)画像から雪線を捉え、雪線上の点に積算暖度法をあてはめて推定した。なお、積雪水量の推定手法については、定山渓ダム流域(104km2)、豊平川流域(雁来地点、650.6km2)における検証をおこなったうえで石狩川流域(石狩大橋地点、12,696.7km2)に適用した。蒸発散量については、流域内気象データからThornthwait法、Hamon法およびPenman法といった推定式によって推算した。これらによって推定した有効降水量と河川からの流出量を比較し、水循環過程を水収支的に検証した。
 次に、気象研究所の大気大循環モデル(MR1GCM)をもとに、土木研究所とカリフォルニア大学で構築されたメソスケールモデルで計算された地球温暖化のシナリオ(二酸化炭素が現状の2倍となった場合)を入手した。それによって、積雪寒冷地流域の水循環がどのように変化するか推算した。本シナリオによれば、北にいくほど温暖化にともなう気温の上昇量は大きくなり、それにともない降積雪量の減少と融雪期の早まりが顕著となるような結果が得られた。
 以上のような積雪寒冷地流域の水循環の現状分析と地球温暖化による変化を踏まえ、今後の河川・ダムの計画、管理を考える上での基礎資料を得ることができた。


[キーワード]

地球温暖化、広域水循環、水収支、積雪寒冷地流域、工衛星画像