研究成果報告書 J95B1110.HTM

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[B−11 地球温暖化による水収支への影響評価に関する研究]

(1)気象・水文モデルの利用による日本域の水文循環への影響把握に関する研究


[研究代表者]

建設省土木研究所河川部

●寺川 陽

[建設省 土木研究所]

河川部水文研究室

●寺川 陽・吉谷純一・渡辺明英・松浦達郎


[平成5〜7年度合計予算額]

13,924千円

(平成7年度予算額 3,306千円)


[要旨]

 本研究は、大気中の炭酸ガス等温室効果気体の濃度増加に起因する地球温暖化が、わが国の河川流域スケールでの水文環境にもたらす影響を予測することを目的としている。地球規模の気候変化の影響を把握するためには、GCMと呼ばれる数値解析モデルが用いられるが、計算機の能力等の制約から計算メッシュが粗く、日本のように狭い領域で複雑に地形が変化するところでは、河川流域スケールでの温暖化の影響評価が難しい。そこで2つのアプローチによる検討を行った。第1のアプローチは、過去の気圧配置等の気象パターンと各地点の降水量の関係を解析し、GCMの出力に基づく気象パターンの出現率の変化から、モンテカルロシミュレーションによって炭酸ガス濃度現状時と倍増時の降水量日系列を擬似発生させ、温暖化に伴う変化を予測する手法である。そして、第2のアプローチは、GCMによって大まかに求められた結果を境界条件として、日本域をより細かいメッシュ(60Km及び20Km)に分割し、かつ地表と大気の間の水とエネルギーの相互移動を考慮したメソスケール水文・気象モデルによって、温暖化時の降水量や、表層土壌水分量の変化を予測する手法である。気象研究所の開発したMRI−GCMの出力を用いて上述の2つのアプローチによる予測を行った結果を総合すると、炭酸ガス濃度倍増に伴う温暖化によって、日本のかなりの地域で年間降水量が減少し、蒸発量の増加と相まって水資源賦存量が減少する傾向にあることが示された。


[キーワード]

温暖化、水文環境、GCM、水文・気象モデル、気象パターン