研究成果報告書 J95B0150.HTM

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[B−1 地球温暖化に係る二酸化炭素・炭素循環に関する研究]

(5)冷温帯林生態系におけるササ型林床植生の炭素循環の定量解析に関する研究


[研究代表者]

農林水産省農薬環境技術研究所 地球環境研究チーム長  ●袴田共之

[農林水産省 農業環境技術研究所]

地球環境研究チーム長  ●袴田共之

(委託先)  岐阜大学流域環境研究センター  ●西村 格


[平成5〜7年度合計予算額]

10,672千円

(平成7年度予算額 3,503千円)


[要旨]

 陸上生態系におけるミッシング・シンクの解明を目的に、冷温帯森林生態系における主要な林床植生であるササ型林床植生について、炭素循環の定量的解析を行った。試験地は、岐阜県高山市にある標高約1,400mのブナ林伐採跡地に成立したミズナラ・シラカンバを主体とする落葉広葉樹の二次林の林床クマイザサ群落を対象とし、冷温帯落葉広葉樹林における林床のササ群落の炭素収支のコンパートメントモデル作成した。林木部分についても出来る限りのデータの集積を試みたが、今回は分担が林床のササ群落部分であり、測定も開始後2年間と期間が短く、今回のデータだけでは、森林生態系としての全体像が見える段階までには至らなかった。
 その研究成果の概要は以下の通りである。冷温帯落葉広葉樹林の林床ササ群落の現存量は、地上部2.86t・C/ha、地下部2.50t・C/ha程度でほぼ安定平衡状態にあることが推定された。その純同化量は年間約1.09t・C/haと推定され、季節変化はあるが年間を通じると、これと同量が森林林床への炭素の供給量となっていると推定された。しかし、土壌呼吸量の定量ついては林木部分との区分は難しく、林床にクマイザサ群落を持つ森林生態系の数値として計測した。クマイザサが新稈を萌出する直前の5月頃は約6,600咤達2/屐殖筍瓧、新稈の萌出がほぼ完了する7月頃には、約14,900咤達2/屐殖筍瓧の放出量があった。また、積雪期には雪上にも炭酸ガスの放出され、その量は約110〜500咤達2/屐殖筍瓧であった。しかし、厳冬でも土壌からの炭酸ガスの放出は約1,130咤達2/屐殖筍瓧と雪上の数倍の放出がある事も明らかになった。この結果、炭酸ガスの年間放出量は、大気への炭素の放出量は約6.23C・t/ha/year程度あることが推定出来た。冬期間の雪上からの放出量と土壌呼吸量の差は、雪に吸着され流亡するものと推定されこれについては分析中であり、これらのことがこの研究としての新たに得られた知見と言える。しかし、林木部分の炭素収支が測定中であり、生態系としてどの程度のシンクとなっているかの最終結論は未だ得られていない。


[キーワード]

炭素循環、林床植生、ササ群落、土壌呼吸