研究成果報告書 J95A0460.HTM

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[A−4 紫外線の増加がヒトの健康に及ぼす影響に関する研究]

(6)紫外線による酸化的ストレスの生体影響評価に関する研究


[研究代表者]

 

環境庁 国立環境研究所 環境健康部

●Margarita D. Apostolova・西村典子・遠山千春


[平成7年度予算額]

4,501千円


[要旨]

 紫外線B波への曝露によって生体組織中において活性酸素が生じ酸化的ストレスとして作用する。生体内における抗酸化作用を有する生体防御のメカニズム、並びに皮膚の機能と構造に及ぼすその役割等に関して解明することは、紫外線等による障害の防止と治療のために有用な知見を提供することになるであろう。本研究においては、このうち活性酸素の除去に関与することが示唆されているメタロチオネイン(MT)の関与と、これに代わって生体内に備わっている他の抗酸化系物質による補償機構の関与を解明するために、遺伝子工学的にMT遺伝子を欠損させたトランスジェニックマウスを用いて実験的検討を行った。このMT欠損マウスは、紫外線Bの照射に対して対照として用いた野生型のマウス(C57BL及び129SV)よりも感受性が低い傾向を示した。また、MT欠損マウスのほうが非タンパク性SHのレベルが生理的条件下で野生型よりも低いこと、しかし紫外線照射後にグルタチオンペルオキシダーゼ活性が野生型よりも高くなった。脂質の過酸化の指標であるTBA−RSは、MT欠損マウスにおいては紫外線曝露に応じて高くなった。今回の結果から、紫外線の曝露に対してMTが存在する場合には生体防御作用を有する可能性はあるが、紫外線に対する皮膚の感受性に誘導合成は必ずしも関与していないことが判明した。


[キーワード]

メタロチオネイン、紫外線B波、MT欠損マウス、Interleukins