研究成果報告書 J95A0450.HTM

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[A−4 紫外線の増加がヒトの健康に及ぼす影響に関する研究]

(5)紫外線の人健康への総合的影響に関する分子疫学的研究


[研究代表者]

 

国立がんセンター研究所 がん情報研究部

●渡邊昌

[国立がんセンター研究所]

 

がん情報研究部

●渡邊 昌

同放射線研究部

●宗像信生

産業医科大学 産業生態科学研究所

●高橋 謙

(委託先)

 

神戸大学医学部

●市橋正光

宮崎医科大学

●井上勝平

秋田県 農村医学研究所

●林 雅人

長野県 農村医学研究所

●松島松翠

沖縄県 環境衛生部

●金城康政


[平成7年度予算額]

6,617千円


[要旨]

 40歳以上の住民を対象とした皮膚癌検診を秋田県横手市、長野県南佐久郡、兵庫県加西市、宮城県清武町、沖縄県伊江村の5か所で実施した。1993年度から1995年度にかけての検診にて各地域における日本人口10万人あたりの皮膚癌の前癌症である日光角化症の有病率は横手市では814、南佐久郡では654、加西市では480、清武町では744、沖縄県伊江村では1900であった。その他の皮膚癌は基底細胞上皮腫15例、有棘細胞癌3例その他の皮膚癌7例が発見された。
 紫外線の強い沖縄県においては日光角化症の有病率が高くなる傾向が認められたが本州の4地点においては有病率に有為な差は認められなかった。紫外線の増加は南北両半球における高緯度地域に特に顕著に認められるため今後、沖縄県はもとより日本本土においても日光角化症の有病率が高くなる可能性がある。また今回の結果については日光角化症の性質として慢性の紫外線曝露が前提となるため有所見者60才代以上の高齢者となるが70才代以上の高齢者は成人病検診、癌検診の受診率そのものがそれ以下の年代と比較して低いため結果に誤差が生ずる恐れがあり今後皮膚癌検診を進めていくに当たって70才代以上の高齢者の受診率をいかに上げていくかが課題と考えられる。
 今後さらに人口の高齢化が進行し、紫外線Bの増加が予想されるため遮光を含めた皮膚癌の予防が重要であることが示唆された。


[キーワード]

紫外線、皮膚がん、日光角化症、有病率、罹患率、集団検診