研究成果報告書 J95A0240.HTM

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[A−2 オゾン層保護対策技術の開発と評価に関する研究]

(4)ハロン代替物質の環境影響(毒性)評価に関する研究


[研究代表者]

 

 

国立環境研究所 化学環境部 計測管理研究室

●安原昭夫

[環境庁 国立環境研究所]

 

化学環境部

計測管理研究室

●安原昭夫

 

化学毒性研究室

●彼谷邦光・白石不二雄


[平成5〜7年度合計予算額]

53,582千円

(平成7年度予算額14,568千円)


[要旨]

 研究の対象としたハロン代替物質は米国で開発・使用され始めている2H−HeptafluoropropaneとTrifluoroiodomethane及び工業技術院名古屋工業技術研究所が独自に開発したPerfluorotrialkylamine系化合物で、いずれも揮発性が極めて高く、また水にほとんど溶けないという特徴を持っている。このような化合物の毒性検査は従来の方法では不可能であったため、今回新たに密閉系での回転培養による迅速・簡便な毒性試験法を開発し、上記のハロン代替物質の細胞毒性および遺伝毒性を調べた結果、いずれの化合物でも顕著な毒性は認められなかった。また、2種類のハロン代替物質の熱分解生成物(ガス状混合物)を毒性試験にかけたところ、Perfluorotriethylamineの熱分解生成物に弱い細胞毒性が観察されたが、遺伝毒性はいずれの場合も検出されなかった。ただし、熱分解において生成するフッ化水素あるいは二酸化窒素は猛毒物質であるため、毒性実験の前に除去を行った。
 上記のハロン代替物質について熱分解挙動を調べた結果、有機化学的に予想される結果とほぼ一致した結論が得られた。フッ素という電子親和力の強い原子を多く分子内に持っているために、アミン化合物の窒素原子の非共有電子対が安定化され、通常のアミン類が有する反応性がフッ素系アミン類ではほとんど見られなくなっている。そのため、フッ素系アミン類はあたかも窒素原子を含まないフッ素系炭化水素と同じような挙動を示した。フッ素以外の含有ハロゲン原子を含んだ化合物の熱安定性(熱分解開始温度)を比べてみると、ヨウ素含有物質、臭素含有物質が低い温度から分解を始め、また二重結合を含むフッ素系アミンはかなり分解しやすかった。熱分解で生成する有機成分についてはガスクロマトグラムでみる限り、種類も少なく、生成量も少量であった。有機生成物のうちで同定できたもの、あるいは構造を推定できたものは半数以下であった。フッ素原子の大半は熱分解で無機化しており、有機フッ素系物質の生成はわずかであった。


[キーワード]

ハロン代替物質、遺伝毒性、細胞毒性、培養細胞、熱分解、熱分解生成物