研究成果報告書 J93B1730.HTM

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[B−17 電気自動車の普及促進による二酸化炭素排出抑制交通システムヘの転換に関する研究]

(3)電池等構成要素の供給、利用、リサイクルシステムの開発


[研究代表者]

大阪工業技術研究所  ●樋口俊一

[通商産業省 工業技術院 大阪工業技術研究所]

エネルギー変換材料部 電池研究室

●樋口俊一・高田怡行・若林 昇・二又政之・藤枝卓也・田村比夏里・荻野 勲・小池伸二


[平成3〜5年度合計予算額]

32,858千円

(平成5年度予算額 11,145千円)


[要旨]

 自動車などの移動体からの二酸化炭素排出量を抑制するためには、二酸化炭素を排出しない電気自動車の導入が有効である。そこで、電気自動車が大量に導入された場合に需要が激増する電気自動車用電池の安定供給見通しについて資源量の面から検討した。その結果、ニッケル―カドミウム電池とニッケル―鉄電池については問題ないが、鉛、ニッケル―亜鉛電池は20年程度で資源が枯渇すると予想された。しかし、電池性能の向上や、電池資源のリサイクルシステムを構築することにより、資源の節減をはかることが可能であることも分かった。鉛電池に関しては、その電池性能は飽和に近いため、さらなる性能向上は困難であるが、ニッケル系の電池は、現在使われているβ―水酸化ニッケルを、α型もしくはα―水酸化ニッケルと他の金属水酸化物の混晶で置き換えることで1.6倍程度の容量向上が期待でき、ニッケル資源の有効活用が可能である。また、リサイクルシステムに関しては、資源の電池以外の使用量も多いため、これらも含めたリサイクルを行うことも必要である。回収した資源が再利用されるか否かはその資源の価格動向に負うところが大きいため、価格変動の影響を受けないようなシステム作りが肝要である。さらに、電気自動車用電池を他種類用意し、運用状況に適した電池を搭載して利用資源の分散化をはかることも資源の有効利用、電池の安定供給につながる。そこで、都市部に急速充電スタンドを設置する等の社会資本を整備して、低容量の電池も電気自動車用電源として利用することも有効な手段であることが分かった。


[キーワード]

電気自動車用電池、リサイクルシステム、資源の節減、電極性能向上、再資源化