研究成果報告書 J93B1720.HTM

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[B−17 電気自動車の普及促進による二酸化炭素排出抑制交通システムヘの転換に関する研究]

(2)電気自動車の普及阻害要因の分析


[研究代表者]

国立環境研究所  ●清水 浩

[環境庁 国立環境研究所]

地域環境研究グループ

交通公害防止研究チーム

●清水 浩、田村正行

(委託先)

日本大学生産工学部

機会工学科

●氏家康成


[平成3〜5年度合計予算額]

17,429千円

(平成5年度予算額 6,242千円)


[要旨]

 電気自動車の普及阻害要因を利用実態調査と実車を用いた走行調査から把握した。物流用のトラックにおいては一充電当りの走行距離が150km、積載量が2tあればほとんどすべての目的に利用可能なことが判った。タクシーにおいては小型で350km、普通車で300km程度の走行距離が最低でも必要なことが判った。郵便収集業務や新聞配達業務では一充電走行距離、積載量ともに低いレベルで対応可能なことが判った。物流トラック、軽乗用、プロトタイプ乗用の各電気自動車を用いた走行調査から、現状の物流用トラックは目的を限れば実用的であることが明らかとなった。また、軽乗用車における長距離走行テストの結果、同型のガソリン車に比べて燃費、一次エネルギー消費率とも2分の1であった。プロトタイプ乗用車についてはヨーモーメントの大きさ、回生ブレーキと機械ブレーキのマッチング等の実用上の問題があることが判った。現状の電気自動車をガソリン自動車と比較するために社会軸、必要条件軸十分条件軸から成る評価項目を抽出した。社会軸には環境、エネルギー、事故、渋滞の4つが含まれる。必要条件軸は経済性、機能性、保守性、操作性、十分条件軸は速さ、自由さ、快適さ、楽しさに分けた。これらの評価項目のうち、電気自動車が明らかに優れているのは環境とエネルギー問題についてである。逆に著しく劣っているのは経済性、機能性、楽しさ、速さの点である。その他の項目については大きな差はない。これまでは電気自動車の問題点として速さと経済性が強調されてきたが、機能性と楽しさの面でも問題があることが浮かび上がってきた。これらの問題点を取り除き、優れた面をより強く引き出すことにより、電気自動車の可能性は大きく広がる可能性がある。


[キーワード]

普及阻害要因、利用実態調査、走行調査、評価軸