研究成果報告書 J93B0440.HTM

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[B−4 シベリア凍土地帯における温暖化フィードバックの評価に関する研究]

(4)シベリア・ツンドラ地帯の凍土融解に伴う大気微量成分の放出に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●井上 元

[環境庁 国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ温暖化現象解明研究チーム

●井上 元、野尻幸宏、向井人史、曾 毅強、マクシュートフ

(委託先)

 

北海道大学 低温科学研究所

●福田正巳、仲山智子

東京工業大学 総合理工学部

●秋山明胤


[平成4〜5年度合計予算額]

25,681千円

(平成5年度予算額 13,006千円)


[要旨]

 凍土地帯は全陸地面積の20〜30%を占め、地圏・生物圏と大気の相互作用の場として無視できない。例えば、凍土の中には高濃度のメタンを含む気泡が含まれていることが観測された。この氷は南極のように積雪から氷になったものではなく、土壌中の水分が移動しつつ凍って出来たものと言うことが分かった。同位体の分析などから、比較的気温の高かった時期にメタン生成細菌によってつくられ閉じ込められたものであり、有機物のクラッキングによって生成したものでは無いことが分かった。
 ツンドラ地帯は樹木が生育せず水ごけなどが主たる植生であり、気温が低いため水苔の活動期間も短いが、夏期には炭素を固定している。固定された炭素の大部分は泥炭化するが、一部は二酸化炭素やメタンとして再び大気中に放出されている。メタンの発生量をツンドラ地帯(チクシ)とタイガ地帯(ヤクーツク)と比べてみると、前者は10〜70mg/m2/dayで後者の200〜2000mg/m2/dayの1/30程度であることが分かった。現在の発生量は小さいが、地球の温暖化により増加することが予想されるので、現状の把握と発生のパラメータ化を目指す観測研究を行なっている。


[キーワード]

シベリア、ツンドラ、凍土、メタン、温暖化