研究成果報告書 J93B0420.HTM

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[B−4 シベリア凍土地帯における温暖化フィードバックの評価に関する研究]

(2)大気中二酸化炭素濃度の測定およびフラックスの測定に関する研究


[研究代表者]

国立環境研究所  ●井上 元

[環境庁 国立環境研究所]

地球環境研究グループ 温暖化現象解明研究チーム

●井上 元、町田敏暢、S.マクシュートフ

大気圏環境部 大気動態研究室

●泉 克幸、内山政弘


[平成3〜5年度合計予算額]

24,938千円

(平成5年度予算額 14,013千円)


[要旨]

 地球の大気を構成する温室効果ガスの中で二酸化炭素は、対流圏の水蒸気を除くと最も大きな効果があり、人間活動により毎年約1.8ppm、約0.5%づつ増加している。その増加の主たる原因は、化石燃料の使用と森林伐採である。人為起源の二酸化炭素(年間70億トン)のうち、大気中に残存している34億トンと、海洋に吸収されると考えられている20億トンとを差し引いた残りの16億トン程度が行方不明missing sinkとなっている。その有力な候補の一つがタイガ地帯およびツンドラ地帯での吸収である。日中は光合成による大量の二酸化炭素の吸収、夜間には呼吸により、接地境界層内部の二酸化炭素濃度は大きく変動する。その収支が二酸化炭素の吸収側にあるため、夏期の混合層の内部は二酸化炭素の濃度がバックグラウンド濃度より数十ppmも低くなっている。混合層の低濃度二酸化炭素の空気は強い垂直混合や低気圧による大きな流れにより自由対流圏に輸送され、バックグラウンドでの二酸化炭素濃度を低下させている。この様なメカニズムが航空機観測によって明らかになった。地上での二酸化炭素のモニタリング体制が整い、二酸化炭素濃度の日、季節変動についてのデータが出始めている。


[キーワード]

二酸化炭素、地球温暖化、タイガ、航空機観測、炭素循環