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[E−3.熱帯林の環境形成作用の解明に関する研究]

(3)植物群落及び土壌生物の土壌形成作用に関する研究


[研究代表者]

 

国立環境研究所

●高村健二

[環境庁 国立環境研究所]

 

地球環境研究グループ 野生生物保全研究チーム

●高村健二

(委託先)
京都大学


●武田博清

マレーシア森林研究所

●Laurrence G.Kirton


[平成2〜4年度合計予算額]

33,826千円


[要旨]

 熱帯林の土壌形成における植物遺体供給と土壌動物群集の関連を明らかにすべく、低地熱帯雨林において調査を行なった。調査地はマレーシア半島部のケポン(クアラルンプール市)とパソ(ネゲリ・スンビラン州)であった。熱帯林樹木からの植物遺体の供給は明瞭な季節変化を示した。月間量は最高で約2.3ton/haあり、年間では約12.0ton/haであった。同じ時期の土壌有機物現存量は4.9ton/haあったので、土壌有機物の年回転率は2.4であった。この回転率は低地熱帯林では比較的低い値であったが、植物遺体の分解は速やかであることがわかった。土壌動物は、数の上ではトビムシ・ササラダニが多く、重量の上ではシロアリとアリが多かった。トビムシは個体数の多い地中性の種と種数の多い地表性の種とに区別され、前者は有機物残査を、後者は菌類を主食としていた。木材の分解過程を調べるために新鮮な材を林床に設置したところ、分解定数0.2前後のゆっくりした分解が認められた。分解の進行具合は2調査地間で差はなかった。今回の調査結果から調査対象林での植物遺体供給と土壌動物群集の概要が判明したが、それらは他の低地熱帯雨林とも共通している物が多かった。ただし、従来指摘されてきたシロアリの重要性以外にも、トビムシなどの土壌動物についても重視する必要性が明らかとなった。また、今回あきらかになった植物遺体と土壌動物の主要なものについて土壌形成における重要性を個々に検討する必要性が明らかとなった。


[キーワード]

 植物遺体、シロアリ、トビムシ、分解、フタバガキ科