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[E−3.熱帯林の環境形成作用の解明に関する研究]

(2)熱帯林の熱・水収支に関する研究


[研究代表者]

 

森林総合研究所

●谷 誠

[農林水産省 林野庁 森林総合研究所]

 

森林環境部 水土保全科 水流出管理研究室

●野口正二

森林環境部 防災科    気象研究室

●谷 誠

        水土保全科 水資源保全研究室

●志水俊夫


[平成2〜4年度合計予算額]

13,641千円


[要旨]

 熱帯林が河川の水流出や気候に及ぼす影響は、その環境形成作用として重要である。そこで、その基礎である熱・水収支を明らかにするため、マレーシアの熱帯降雨林において観測を実施し、その特性について検討した。予備調査の結果、現地は、年2回降雨の多い時期と少ない時期があるが、極端に少なくなる季節はなく、湿潤高温な気候条件をもつこと、森林の流出に及ぼす影響に関する試験結果がすでに得られていて、それによると、森林伐採により年流出量が増加することなどがわかった。この結果を踏まえ、雨量や流出量など基本的な水文観測が実施されている小流域試験地において、新たに試験斜面を設定し、降雨特性、土層構造・土壌の物理性の調査、土壌水分の観測を行った。その結果、次の知見が得られた。1)強度の大きい降雨が短時間に午後に集中する。2)斜面上の土層構造は、比較的均質な厚さをもつ表層土層と、その下の厚さの変動の著しい風化土層に分かれる。3)表層土壌においては、孔隙が深さとともに小さくなるのにともない、透水性も小さくなる。4)土壌水分状態の時間変化の特性については、土壌が十分湿潤な場合には、地中への水の浸潤は速やかで、部分的に地下水位の発生もみられる。一方、土壌が乾燥している場合には、深さとともに緩やかに湿潤域が伝達されるが、何回かの降雨により土壌が乾燥から湿潤になるにしたがい、洪水流出量が増加し、ピークの後の減水が緩やかになってゆく。さらに、この水文試験地の研究の他に、森林の熱収支について、マレーシアの別の試験地に観測タワーが設置されたのを受けて観測を開始した。この観測結果の検討については、平成5年以降の再編課題において実施してゆくこととした。

[キーワード]

 熱帯林、水収支、小流域、斜面水文、表層土壌